Armattan Badger 5" Kit (バンドル) <13> emu Filter 設定

さて、いよいよemuflightをチューニングしてみたいと思います。
まず例によってフィルターを調整してみたいのですが、タイトルがemuflightではなくemu Filter設定となっているのはタイトルの字数制限をオーバーしたからで、誤植ではありません。

 

下記URLのemuflightのgithubページ内にチューニングフローチャートが掲載されていました。
https://github.com/emuflight/EmuFlight/wiki/IMUF

今回これを元に設定したわけではないのですが、すごく参考になりそうだったので数字を振った部分を翻訳しておきたいと思います。翻訳も適当なのであてにしないでいただけると嬉しいのですが、雰囲気だけでも全体の流れを把握できたらと思います。

  1. どんな挙動がありますか?
  2. スロットル前後のふらつき
  3. ロールとフリップ終了後のバウンスバック
  4. ハードスロットル時の軸上(恐らく機体のロール軸、ピッチ軸どちらかの事)の動き
  5. ホットモーターもしくは唸るような振動
  6. ハイスロットル/ハイピッチ
  7. MTO/ 個別注文?ではなく、恐らくmid-throttle oscillationsのとこでスロットル中域での振動のことかと思います。
  8. 変更を元に戻して、別の関連する値を試してください

翻訳が怪しいところもありますが、このフローチャートを元に、それぞれの症状に応じて矢印を辿れば変更すべき値が見つけられるわけですね。
チューニングフローチャートの説明として、下記のような事が記載されています。

Use the following Flowchart for basic PID tuning. Start by disabling Dynamic-Filter, TPA, Anti-Gravity, SPA, EmuBoost, Sharpness & for older versions, FeedForward while achieving a good tune. Then re-enable or modify features as needed for further fine-tuning.

基本的なPID調整には、次のフローチャートを使用してください。まず、ダイナミックフィルター、TPA、アンチグラビティ、SPA、EmuBoost、Sharpness、および古いバージョンのFeedForwardを無効にして、適切な調整を行います。
次に、必要に応じて機能を再度有効にするか変更して、さらに微調整します。

との事です。非常にわかりやすいですね。Betaflightに慣れた方だとPIDを並行してフィルター部分に項目が設けられているQの値を変更するのが新鮮なのかなと思います。

実際に今回一旦フィルターを設定してみて、PIDを調整し、再度フィルタータブに戻ってと結果的に行ったり来たりして設定しました。

ちなみに、今回emuflightの設定ではArmattan Badger 5" Kit (バンドル)6S構成で、プロペラはETHIX P3 PEANUT BUTTER & JELLY PROPを使用しています。

P3はS3程のスピードのキレはないのですが、粘り気というのか弾力というのか、そういう感じがあり、あっさりしているS3よりもこちらの方がコントロールしやすいという方も居るのではないかと思います。どちらも完成度の高いプロペラです。

上記がPID Tuning タブ内のFilter Settingsです。このタブは大きく3つのブロックでわかれています。赤色で示した一番左の区画がProfile Independent Fliter settingsという区画。
並んでいるのはGyro Lowpass FilterとGyro Notch Filter、MATRIX Filterで、基本的にはGryoにまずかかってくるフィルターの区画かと思います。MATRIX Filter以外はBetaflightでも利用できるものですね。
BetaflightではMATRIX Filterの代わりにRPM Filterが利用できる形になっています。

次に真ん中の緑色で示したProfile Independent IMU-F Filter Settingsという区画。これはemufilght独特のものですね。大きく分けて、Q、W、Sharpnessという3つの分類ができるかと思います。

QとWの解説はフローチャートのあった下記のURLに解説が出ています。
https://github.com/emuflight/EmuFlight/wiki/IMUF

Sharpnessの解説は上記URL内にリンクのある下記のURLにあります。
https://github.com/emuflight/EmuFlight/wiki/Sharpness

上記URLを読むと大体理解できるかと思うのですが、掻い摘んでポイントを抑えておきましょう。
まずQに関しては高い数値に設定するほど応答性が高くなるという事。しかし、ノイズの多い機体では高すぎるQを設定すると振動の原因にもなるようです。デフォルトの3000はかなり低いレベルに設定されており、ヒントによると多くの人が5000-9000でうまく行くとの事で、最大値は16000。

WはIMUFフィルターがフィルターを決定するために調べるジャイロ読み取り値の量との事ですが、Wを増やしてもフィルターの遅延は増えないとのこと。Wを低くすると、スティックの感触がシャープに。デフォルトは32。
一般に、レーサーは低いWを好み、フリースタイラーは大きいWを好むとの事なのですが、機体のサイズによっても適切な値は変わり、5インチの場合16-64あたりが良いようです。

Sharpnessは読んでみるとQの補助的な設定値のようです。調整の段階ではSharpnessをオフにしておくのが良いようです。
Qが決定してからSharpnessを利用する流れになりそうですが、オススメは下記の3パターンのようです。

  1. Sharpnessオフ  :  Qのみを調整。
  2. 非常に低いQ  :  中〜高Sharpness。
  3. 高いQ  :  非常に低いSharpness。

実はまだSharpnessは充分に検証できていないのですが、全体的な設定が出たタイミングで最後に少し入れてみるという使い方で、特に7インチなどの機体やダクト付きで振動の多い機体でQがあまりあげられないケースでは高い効果が得られるかも知れないと思いました。

最後に青色で示したProfile dependent Filter Settingsですが、並んでいる内容をみるとD Term Lowpass Filtersだけなので、これはBetaflightと同じですね。

上記はBetafilghtの図なので全体的には全然違うと思うのですが、D Term filtersは青色で示した位置にあり、基本的にはGyro filter通過後の信号がDに送られる前にさらにフィルタリングする役割があるものと考えられます。

モーターが焼けないための最後の砦という感じかと思うのですが、逆に言えばここが過剰に入っているとモーターの熱を確認しながら調整しても正しく判断する事ができないので、調整の上では早い段階で変更する必要があると思います。

下記URLのMATRIX Filterの解説でD Term Lowpass Filtersに関する情報を見つけました。
https://github.com/emuflight/EmuFlight/wiki/Matrix

MATRIX Filterの調整方法については、正直よく分からなかったのでデフォルトのままにしているのですが、ここで注目したのはMATRIX Filterを使用する場合D Term Lowpass Filtersを2つ使用するのはフィルターが過剰である可能性が高い(デフォルトではその状態)との事。MATRIX Filterを使用するならD Term Lowpass Filtersは1つで良く、MATRIX Filterを使用しないならD Term Lowpass Filtersを2つ使用するのが良いようです。

上記が今回設定を行ってみた結果なのですが、まず緑色で示した箇所、D Term Lowpass Filtersの2つ目をオフにしました。まだモーターは冷たいので、もっと攻めたい方はログを見ながらD Term Lowpass Filtersの1つ目の数値を変更しても良いかも知れません。

次に、青色で示したSharpnessを0に。こちらは最後にあげて検証などはしておらず、デフォルトから0にした段階でフィーリングが改善したのでそのままにしてあります。

最後に赤色で示したQを全て6000に設定、Qの決定は非常に悩ましいなと思うのですが、このArmattan Badger 5" Kit (バンドル)6S-ETHIX P3 PEANUT BUTTER & JELLY PROPの構成では6000スタートで、お好みにより500ずつあげるとか、下げるとかで良いのではないかと思います。

今回はここまでとして、次回はPIDの前にRatesを見ていきたいと思います!
標準的な5インチフリースタイル機体ということもあり、全体としてはデフォルトでかなり満足度の高いフライトができる状態でした。

その為、調整はお好みでという形なのですが、問題が起こったらフローチャートを参考に問題を解決してみましょう!

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