【Betaflight ノート #1】Flywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2

目次

Section 1

Betaflightの設定

Betaflightもしばらく記事にしないうちにバージョンアップを重ね、すっかり様変わりしてしまいました。

以前に書いたチュートリアルがあまり役に立たなくなって来たため、また少しづつBetaflight関連の情報を紹介していきます。

この【Betaflight ノート】シリーズは初心者向けのまとまったチュートリアルではなく、様々な機体でPIDチューニングを行ったり、気になったパラメーターを取り上げて評価した内容をTips的に紹介する形にしたいと思います。

大きいものから小さいものまで様々な機体を幅広く制御でき、その分設定の奥深さがある点もBetaflightの面白いところかと思いますので、皆さんも設定を楽しんでもらえたらと思います。

まず初めは3部構成でFlywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2という機体を使用してPIDチューニングの全体像を紹介します。

Section 2

Flywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2

今回【Betaflight ノート#1】から3回に渡って使用する機体はFlywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2(アナログ版)です。

今回はこの機体の簡単な紹介とファームウェアアップデート、さらにPIDチューニングを始める準備や機体の情報を取り上げます。

Flywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2は箱から出してプロポと接続すればすぐに飛行できる手軽さがあり、コンパクトながら屋外でもそこそこしっかり飛んでくれるパワフルな1S機です。

最近ではマイクロ機用でもBlackbox(ログを保存するフラッシュメモリ)を搭載するFCが増えてきましたが、この機体もBlackbox(8MB)を搭載しているので、ログ解析に必要な最低限の機能を備えています。

つまりこの機体は飛ばす楽しみだけでなく、PID調整作業を試したり、変更したパラメーターの結果を数値的に評価する、という部分でも楽しめる機体になっているということですね。

Flywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2にはプロペラガードも付属していますので、屋内でも使用できるよう考えられています。

ただ、プロペラガードの装着はオプション的な位置付けで、基本的にはプロペラが剥き出し、メインフレームはカーボン製のToothpickタイプの機体です。

気軽に遊べる機体でありながらもTinyWhoopのようなダクトは無いため、屋外でも風の影響を受けにくく、ダクト部分の振動もないので、フィルターやPID調整の効果を体感しやすいのではないかと思いますので、【Betaflight ノート】で取り上げるには良い機体なのではないかと思いました。

上記画像はFlywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2開封直後。

この機体にはいくつもバリエーションがあるのですが、当店で取り扱っているのはELRS受信機搭載のアナログバージョンです。

パッケージには交換ネジやプロペラガードだけでなく、4ブレードと3ブレードの交換用プロペラも同梱されています。細かい部分まで配慮されており、購入後すぐに使いやすい構成になっています。

いくつかのバッテリーをテストしましたが、もっとも相性が良かったのは 純正のFlywoo Explorer 1S 750mAh HV V2(A30プラグ)です。

A30プラグはBT2.0と互換性があるため、BetaFPVのBT2.0バッテリーも使用可能なのですが、例えばBETAFPV BT2.0 550mAh 1S を使おうとすると電源ケーブルの長さがたらず、延長する必要があった上に、飛行時間やパワー面で物足りなさを感じる結果となりました。

性能を活かすには純正バッテリーの購入をおすすめします。

屋内で遊びたい場合は付属のプロペラガードを使用する事も、もちろん可能です。

ただ、純正のプロペラガードは半円形のガードになっているので、カーテンを巻き込んだりする恐れもあり、少々心許ないという場合は、75mmサイズ(40mmプロペラ)のTinyWhoopのフレームを加工する事で簡単に自作のプロペラガードが作成できます。

上記画像はBETAFPV Meteor75フレームを加工して取り付けたものです。

パワフルで油断するとスピードはでてしまうものの、程よい重量感があるので慣れると屋内でも飛ばしやすい機体です。

モーターや全体的な飛行性能については、それまでのFlywooのマイクロ機も評判が比較的良く、実は自分もいくつか試していました。

これまでのものはFPVカメラの性能が悪く非常に見辛い印象があり、カメラは変更した方が楽しめる印象だったのですが、この世代の機体からカメラ性能も随分良くなり、全体的に不満の少ない機体に仕上がっているのかなと思います。

個人的に、不満を挙げるなら2点あり、1点目はバッテリーマウント。

設計がピタピタなので、初めて使用する際にバッテリーを入れるのが非常に硬く、信じられないほど入らなかったので、マウントが切れないように気をつけながらペンチで多少広げてゴムを伸ばしてから使い始めました。

この点は、使っていけば馴染むので、逆にズレにくくて良いと考える事もできますが、初めはいくらなんでも硬すぎると思いました。

このバッテリーマウントは90度回転すると外れて交換できる仕組みになっており、予備も付属しています。

クラッシュで打たれると多少回転するので、うまく衝撃を逃してくれているような感じで、逆に外れやすいかと言うとそうでもなく、クラッシュ時に90度回ってしまって外れるということは今まで起きていません。

この機体、キャノピー部もTPUのゴム系素材で出来ており、バッテリーマウントの構造との組み合わせで、かなり故障しにくい仕上がりになっています。

剥き出しのプロペラはクラッシュ時に傷ついたり、外れたりしてしまうので、その点は当然TinyWhoopなどのダクト機と比較すると消耗しますが、全体としては長持ちしやすい機体と言えそうです。

これまで、運搬時に引っ掛けてモーターの配線を断線してしまった事くらいで、それ以外に故障らしい故障は一度もありませんでした。

2点目の不満な点は、初めの頃使用していて、なぜか時々VTXがピッドモードになってしまい、すぐに映像が切れてしまう事があったという点。

これはBetaflight側のVTX設定で送信出力を控えめな200mWに設定し、ディスアーム時 最小送信出力設定を初回アーム時までに設定することで、あまり発生しなくなりました。

AIOボードの熱か、自分の持っている個体の問題の可能性もあるのですが、映像をみて普段より全体的にノイズが乗っていたらVTXの受信状況を確認し、もしいつもより受信強度が低いようなら再起動すると改善する場合が多いです。

この機体はPCと接続してUSB給電を受けた際でもVTXが起動し熱くなるという、1Sの機体では良くあるタイプの機体になりますので、設定などで長い時間PCに接続する場合はファンなどで冷やしてVTXが故障しないように気をつけましょう。

手軽に遊べる機体として使い始めたFlywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2ですが、思いのほか長い付き合いになりました。

何度かPCに接続しっぱなしで忘れていた時もあったので、もしかすると自分の機体はVTXが傷んでいる可能性もありますが、同じ症状が出る場合は参考にしていただけたらと思います。

何はともあれ、小型ながら調整作業に必要な最低限の機能を備え、扱いやすさと実用性を兼ね備えていますので、Betaflihgtの設定を変更し、Logデータを分析して理解を深めたり、さまざまな設定を試して遊ぶには不足のない機体と言えるでしょう。

Section 3

ファームウェアアップデート

Flywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2はロットによって搭載されている基板が数種類あるようで、分かりづらいのですが、当店に在庫があるロットに搭載されている基板はGOKU F405 ERVT 1-2S 12A 5-in-1。

CLIで[dump]をコマンドしてバックアップを保存しつつ、ボードネームを確認しておきましょう。

自分のFlywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2はFWのアップデートが初めてではないので、箱から出した状態と同じではなく、古いファームで [dump]を確認すると別のboard_nameになっている可能性もありますが、4.5.2など新しいファームを入れるならboard_nameは[FLYWOOF405S_AIO]です。

早速新しいファームウェアをフラッシュしましょう。

今回は4.5.2をフラッシュすることにします。

GOKU F405 ERVT 1-2S 12A 5-in-1はELRS受信機を内蔵したFCですが、SPI受信機ではなくシリアルなので、FCのファームウェアとは独立して受信機のファームウェアが管理できる基板となっており、アップデート時にRC通信を心配しなくて良いのは非常に楽ですね。

通信プロトコルは[CRSF]で、オプションは消しても良いものもあったのですが、とりあえずデフォルトのままアップデートしました。

新しいBetaflightはファームウェアを入れるタイミングで送信機プロトコルをしっかり選んでおかないと後で変更できませんので、気をつけましょう。

アップデート後、バックアップしていた[dump]のデータを読み込めば、ある程度以前の設定が戻ります。

アップデート前のバージョンが低い場合、反映できないCLIが多く、設定を一つ一つ確認する必要がありますが、今回は一気に飛行できる状態になりました。

簡単ですが、ここまでの作業でアップデートは完了したので、チューニング作業の準備や、情報の確認に移ります。

Section 4

チューニングの準備

PIDチューニングについて、最近試しているのは「Basement Tuning」 という方法です。

これは、Blackboxのログを解析しながら調整を進めていくものなのですが、多くの作業を屋内で完結できる(と、言われている)のが特徴です。

Blackboxのログを解析しながら行う調整は、飛行とログ解析をかなりの回数繰り返すため、屋内で作業が進められると普段使い慣れているPC環境で効率的に進められる点は非常に魅力です。

当然、ログ取得のためにはある程度の飛行が必要となるため、小さな部屋で行う場合は大型機よりも小型機の方が扱いやすいと言えます。

実際には、余程広い部屋がない限り、大きな機体は全ての工程を屋外で行った方が良いと思うのですが、屋外で暑さや寒さと戦いながら作業するなら、なるべくスムーズに進めたいもの。

なるべく段取りを頭に入れておく必要がありますね。

段取りを把握し、ログの解析に慣れるためには数をこなすしかないですが、そう言った意味でもFlywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2はぴったりの機体と言えます。

手順もそこそこ多く、やればやる程色々試してみたくなるので「Basement Tuning」法のやり方を細かく紹介することはしませんが、BetaflightのデフォルトPIDやメーカー側で初めから設定されていたPID、さらに調整後のPIDの3つでどのくらい違いが出てくるのか、見ていけたらと思います。

まずはざっと下記の内容を確認しました。

  • 機体にハードウェアに振動が無いかを確認(この機体はフレームが1ピースなのでモーターネジの緩みなど)

  • プロペラを新品に交換(今回は付属しているのと同じFlywoo 1608 40mm 3枚ブレードを使用)

  • プロポ側- ADCフィルターが無効になっていることの確認(今回使用しているのはEdgeTX)

  • RCプリセットのロード(今回はExpressLRS 250Hz)

  • 双方向Dshotの設定確認(有効化スイッチとモーター極数の確認)

  • PIDループとESCプロトコルの確認(今回はPIDループ2K/Dshot300に設定)

このあたりまでは特別な設定と言うよりは、機体の組み立ての部分に問題がないかどうかの確認と、ELRSの設定が正しく行われているかの部分になります。

なぜ受信機の設定に気を配るかというと、RC通信の種類に応じて適切なRCスムージングとフィードフォワードの設定があるとのことで、この設定が実際のRC通信とマッチしていないとカクツキや振動の発生の原因になる為です。

RCスムージングの匙加減でも随分フィーリングは変わるでしょうから、いずれ良く考えてみたい項目ではありますが、今回はプリセットで進めたいと思います。

[双方向Dshot]についても、元から設定がなされていました。

[モーター極数]も念の為数え直しましたが、12で問題ありませんでした。

BLHeli_S ESCで [双方向Dshot]を利用するためには、Bluejayファームウェアを利用する必要がりますが、Flywoo Firefly 1S FR16 Nano Baby V2のESCは元からBluejayファームウェアになっていますので、問題ありません。

上記ESC設定も恐らくデフォルトのまま変更していないように記憶していますが、24kHzで動作しているようです。

[PIDループ]の設定については、さらに数値を上げていく事もできるのですが、4Kからはモータータブでエラー率が0%にならなくなってしまいますので、デフォルトのままにしました。

少しでも処理の負荷を下げるために使用しない気圧センサーのスイッチはカットしています。

ここまでは現状把握と確認でしたが、ここからが実際のログ解析の為の準備になります。

特にRateについては、屋内で評価しやすいログデータをとるための飛行が簡単にできるように設定しておき、屋外でアクロモードでのフライトが始まるタイミングで自分の気に入った設定に戻すのですが、これは今回細かく紹介しません。

ブラックボックスについては多少紹介しておきます。

まず、フィルターの効果や遅延の分析の為に必要なデータの記録設定がなされているか、確認する必要があります。

また、今回8Mしかない基板で解析しやすいデータを取得しなければなりませんので、ブラックボックスで必要のないデータは記録しないように設定しておく事で、データ量を節約する工夫をすると、PCでデータを取り出す回数を減らすことができます。

[記録レート]を2KHzに設定し、[デバッグモード]はGYRO_SCALEDに設定しました。

また、なるべく容量を節約したいので、不要なデータの選択を解除します。

あまり設定し直した項目はありませんでしたが、最低限の確認は出来たものと思いますので、早速次回からPIDチューニング作業を進めていきたいと思います。

 

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