今回はまずemuflightのRateprofile Settingsについて触れていきたいと思います。
全体的なPID設定に取りかかる前にRatesは自分の好みのものにしておいた方が良いと思うので、Betafightとの違いをさらっとご紹介しておきましょう。
上記がデフォルトの状態ですが、全体としてはBetaflightとほとんど変わらないので、特に混乱することはないのではないかと思います。
緑色で示したRate Dynamics、これはemufight特有のもので、下記のGithubページに記載されているところによると、このRate Dynamicsがemuflight最大の成果の1つとも言えるものらしいですね。詳しくは下記をご覧ください。
https://github.com/emuflight/EmuFlight/wiki/Rate-Dynamics
簡単に言えば、スティックの移動方法に基づいてレートを動的に変更する設定で、これがあることで非常に有機的と言ったら良いのか、なんと言ったら良いのかわかりませんが、好きな人にとっては非常に良い感じのフィーリングになります。
emuflightは基本的な制御の部分も非常に良くできていると思うのですが、スティック操作の感触を追い込める点においても面白いので、KISS好きな方にもおすすめですね。
このRate Dynamicsのパラメーターは横にRate center とRate endの2つの項目があり、縦にSensitivity、Correction、Weightの3種類の項目がそれぞれ設定できます。
横に2つ並んでいるRate center とRate endはそのままなのですが、ステックのセンター付近の設定と、エンド(端側)付近の設定ということです。
縦に3種類並んでいる1番上、Sensitivityは簡単にいうと敏感さで、デフォルトは100。
デフォルトの100は100パーセントということなので1倍、何もしないのですが、120などにすると1.2倍Ratesをブーストする、80だと0.8倍に減少させる形になるようです。
Correctionに関しては、Sensitivityで変更されたRatesをどのくらいの時間でBasic/Acro Ratesで設定されている値まで戻すかという設定値らしく、この値は高ければ高いほどSensitivityでブーストもしくは減少された値を素早く補正するという事。
逆にCorrectionの数値が低いとSensitivityで設定された数値の継続時間が長くなるようですね。
Weightは重みという事なのですが、あえてRatesの変化をなだらかにする事で滑らかさを獲得するという設定値です。0では何も起こりませんが、数値を上げていくとどんどん応答が怠く、重くなっていきます。あまり高い数値を設定してしまうと操作に対して遅れ過ぎて制御が難しい位遅延しまうのですが、レースのパイロットですらも多少は使用するとの事です。部分的に適用できるため、うまく使うことでシャープでクイックでありながら、滑らかな動きを実現できる設定値ということですね。
ほんの少し数値を変えるだけでも随分効果を実感できるので、多くの人にとって、感覚的に理想の機体のイメージに近づける事ができる便利な設定項目になっていると思います。あまり過剰に入れると非常にクセのある機体になってしまいますが、それを個性というならそれもありかなと思います。
赤色で示した部分はTPAで、それ自体はBetaflightに限らずどんなファームにもある設定項目ですが、P、I、Dのそれぞれで設定できるのはemuflightの大きな特徴かなと思います。
5インチの場合、よほどアンバランスな構成を試すなどしない限り大体デフォルトで問題ない事が多いのですが、詳細は下記のURLをご参考ください。
https://github.com/emuflight/EmuFlight/wiki/TPA
リンク先で見つかるTPAの図なのですが、減衰させるだけでなくブーストできるというのは珍しい仕様なのではないかと思います。
自分は現状は上記のような設定値にしてみました。Ratesは大体いつも通りの数値で、Rate Dynamicsは割と消極的な使い方なのかなと思います。
グルグル回すのが好きな方はBasic/Acro Ratesだけで追い込むのではなく、Sensitivityの項目も調整してみると良さそうです。Rate Dynamicsは面白いのですが、Basic/Acro Ratesとの組み合わせでより設定が複雑になるので、なかなかコレだと決定するのに時間がかかるかも知れません。もし一旦仮でRatesを決定した後にPID調整を行い、再度ここの設定を追い込んだ際にバウンスバックなど問題が出る場合は前回ご紹介したフローチャートを参考にさらに設定をブラッシュアップするのが良さそうですね。
さて、いよいよPIDチューニングです。上記がデフォルトの値で、今回も初期のPは下記の記事でもやったように、Dを0、Iを50パーセントにしてスロットルを引き上げた時に振動が出るまでPを上げていき、振動を確認できたらその数値から50パーセントにする方法で決定しました。
Armattan Badger 5" Kit (バンドル) <8> PID Tuning 2
この方法の最大のメリットはROLLとPITCHのバランスが確定されるところにあるのですが、全ての機体に万能ではないようです。
例えば3インチ以下のフリースタイル機に対して、この方法でPを決定するとPが低くなり過ぎてしまう事があり、低スロットル時のPIDが十分ではない状況になったりもするので、その場合は最後の調整を50パーセントを60パーセントにしてみたり、色々試していただけると良いかと思います。
自分のRatesでは充分と思うのですが、数値が物足りない方は上記の数値を多少参考にしていただきながら、フローチャートを参考にさらにブラッシュアップしていくのも良さそうです。
また、気がついた方も多いのではないかと思うのですが、現行のemuflightにはFeedForwardの項目がありません。
それに代わるものとしてEmuBoostという項目が右側にあるのですが、これについては次回触れる予定で、EmuBoostを上げたことでバウンスバックが出てくる場合Dを上げて調整するか、D Boostを使用する形になるかと思います。
さて、右側にも気になる項目が並んでいますが字数制限がありますので今回はここまでです!