7インチの記事の後に、今度は小さめの3インチを記事にしたいと思います。
使用していた受信機の不具合で水没し、洗浄したあと乾かしている様子が上記写真なのですが、調子の悪かった受信機以外の全てが水没から生還した為、久しぶりにMicro Alienの機体構成と設定を大幅に変更する事にしました。
ちょうど1年程前に組み立てたImpulseRC Micro Alienですが、FCとESCはHGLRC XJB F438 Flytower Micro F4 flight controllerを使用しています。上記は組み立て当時の写真ですが、ピカピカです。
このタワーはもう生産されていない古いモデルなのですが、今ではあまり見なくなったFCとESCをピンで差し込み接続するタイプです。この部分は壊れやすいのかなと思っていたのですが、一年間の度重なるクラッシュと最後に水没で、他の部品が徐々に壊れていく中、まだ使えています。
この1年間でアームは2本折れて交換し、メインプレートもお尻の部分が砕けて交換しました。5インチと比較するとカーボンが薄い事もあるのですが、それよりも小さいからと思って過剰に狭い隙間を攻めてしまうのも故障の原因ですね。
今回のポイントとしては、HGLRC XJB F438 Flytower Micro F4 flight controllerのESCがBLheli_Sファームウェアなのですが、最近BLheli_Sでも無料でRPM Filterが利用できるようになったということで試してみたいなと。
今回使用したパーツリストは下記
- フレーム:ImpulseRC MICRO ALIEN 3 "フレームキット
- モーター:Armattan Oomph TITAN MiNi 1407 / 3650KVモーター/ CW×2 CCW×2
- フライトコントローラー・ESC:HGLRC XJB F438 Flytower Micro F4 flight controller
- VTX:RunCam TX200U
- アンテナ:TBS TRIUMPH PRO (U.FL)
- FPVカメラ:RunCam Phoenix Oscar Edition
- 受信機:FrSky XM+
基本的にパーツは使い回しなのですが、FPVカメラをRunCam Phoenix Oscar Editionに変更しました。Micro AlienやMicro Reverbに搭載できるFOV140くらいのFPVカメラは意外と無いのですが、やはり慣れたFOVだとフライトの面白さも倍増です。
RunCam Micro EagleはFOVも性能も申し分ないのですが、レンズが大きすぎてMicro AlienとMicro Reverbには搭載できませんでした。
ETHIX CAMERAは搭載すること自体は可能なのですが、レンズが長い為角度がかなり制限されます。
逆に、録画カメラを搭載しない前提ならもう少し広めのFOVのカメラにしてDVR映像を録画するのもアリだと思います。マイクロ用で広いFOVのカメラならかなり種類があるので、選び放題ですね。
後はRunCam Split Mini 2(今ならMicro)などの録画機能を持ったFPVカメラを搭載する方法も考えられますが、フレームの高さから考えてFCとESCの部分に3枚積むのがかなりキツイ為、工夫が必要です。ESCとメインフレーム、もしくはFCが接触するようだとトラブルの元になりますので注意しましょう。
Micro AlienやMicro Reverbの高さを拡張する3Dプリンターパーツを今後販売予定なので、3枚重ねる場合はそういう形にするか、FCとESCが一枚の基板にまとまったタイプを使用するかがおすすめです。
モーターはArmattan Oomph TITAN MiNi 1407 / 3650KVモーターを使用します。
1407サイズは3インチ機体を200g未満に抑えたい時は丁度いいサイズで、今回も一応バッテリーによってはU199という形にまとめたいので1407サイズにしました。パワーも十分です。
問題の受信機は、最近5インチでも使用しているFrSky XM+に変更です。使用していたFUTABA互換のSF800 MINIは、一年使った結果、定期的にトラブルに見舞われたため、正直あまりオススメできません。
本題の前に各パーツの説明が長くなりましたが、とにかく、せっかくなので色々こだわりを詰め込んでみました。
詰め込んだ結果、見た目は普通ですね。
1407モーターだと重量には余裕があるので、3Dプリンターのスキッドなどを取り付けた状態でも4S450mahのバッテリーなら198.5gに抑えられています。
さて、本題のRPM Filterですが、まずESCのファームウェアをダウンロードする必要があります。BLHeli_S ESCでRPM Filterを実行するためにはJESCかJazzMaverickの公開しているファームを利用する必要があるそうで、JESCは有料、JazzMaverickは無料との事。
今回はもちろんJazzMaverickから無料のファームを入手したいと思います。
RPMフィルターを使用した事がある人にとって、今回一番難易度が高いのは、多分このファームのダウンロードなのではないでしょうか。
まずBLHeli Configuratorで自分のESCのコード名を確認する必要があります。
こちらが今回使用しているHGLRC XJB F438 Flytower Micro F4 flight controllerをBLHeli Configuratorで開いた画面です。各ESCの区画を見ると、ESC1ならESC1:F-H-40,16.7と表記されているのが確認できます。このコードを元に、下記のURLからファームウェアを探します。
- ファームのダウンロード
https://github.com/JazzMaverick/BLHeli/tree/JazzMaverick-patch-1/BLHeli_S%20SiLabs - BLHeli_S manual SiLabs Rev16.x.pdf(マニュアル)
https://github.com/JazzMaverick/BLHeli/blob/master/BLHeli_S%20SiLabs/BLHeli_S%20manual%20SiLabs%20Rev16.x.pdf
自分が作業した時はもうちょっと見つけやすかった気がしたのですが、最近さらにアップデートされたようで、見つけるのがさらに困難になっていますね。
上記のマニュアルによるとFの文字はMCUのピン配列を示しているそうです。
2番目の文字はLまたはHだそうで、Lは24MHz MCU用、Hは48MHz用との事。
2つの数字はFETスイッチングのデッドタイムを示すそうです。ちょっと半分くらいよく理解出来てないですが、Hは48MHzなのですね、なるほど。
自分が作業した時は16.77が良さそうだったので16.77を試したのですが、今(2020/04/06)だと16.8とかでも自分のFCに適合するファイルが見つけられました。5日前に公開されたみたいですね。
新しいものはまだ試していないので、今回は一旦例として16.77をダウンロードしたいものとして話を進めましょう。まずHex files 16.77 48kを選択します。48kなのは先ほど確認した2番目の文字かHだからです。
すると、ズラーとHEXファイルが表示されますので、F_H_40を探します。無事にありましたね!
今回はHGLRC XJB F438 Flytower Micro F4 flight controllerなので、これなのであって、みんながみんなこれをダウンロードすれば良いわけではないのでご注意ください。
ファイル名をクリックするとダウンロードが始まるかと思いきや、このダウンロードはそんなに甘くありませんね。F_H_40_48_REV16.77.HEXをクリックするとまたズラーと文字が表示されます。
その中で、右上の方に表示されているRawボタンを右クリック、リンク先を別名で保存を選択す事で.hexファイルをダウンロードできます。
.hexファイルをダウンロード出来たらBLHeli Configuratorに戻ってファームをフラッシュしましょう。
FLASH FIRMWAREからファームの選択画面にうつりますが、この時Select File Manuallyを選択。
上記はMacでの選択画面になりますが、PCに保存した先ほどの.hexファイルを選択します。
ファームウェアのフラッシュが無事に終了すればOKです。
続いて、FCの方もファームアップしておきましょう。
しばらくファームアップしていなかったので、念のためFCのファームを確認しておきます。上記はマニュアルからの抜粋ですが、HGLRC XJB F438 Flytower Micro F4 flight controllerはOMNIBUSF4ですね。
作業時に最新だった4.1.1にフラッシュしました。
ここからは普通にBLheli_32でRPM Filterを設定する時と手順は同じです。Betaflight4.1.0でRPM Filterが簡単に利用できるようになった時の記事に大体の流れが記載されていますので、詳しくは下記のURLも合わせてご参考ください。
Betaflight 4.1.0 RPM Filter <1> 下準備
Betaflight 4.1.0 RPM Filter <2> Betaflight側設定
Betaflight 4.1.0 RPM Filter <3> PID Tuningタブなど
今回F4のFCなのでDSHOTは300に設定しました。
また、モーターのマグネットの数は5インチ用モーターで一般的な14個がデフォルトなのですが、Armattan Oomph TITAN MiNi 1407は数えると12個だったのでMotor polesは12と入力。
Motor Idle Throttle Valueもモーターテストで計測し、1016位でちゃんと回ったので1016+30 -1000 ÷10=4.6で4.6と入力しました。これはモーターのコンディションで数値が変わってくるかと思います。
Gyro update frequencyとPID loop frequencyはそれぞれ4kHzに設定。
PID Tuningのフィルタータブですが、Dynamic Notch Filterの部分を5インチ機体と同じ感じで上からLOW/0/200/90に変更しました。ノイズの周波数なんかが変わりそうな感じもしますが、現状この設定で問題ないみたいです。
こちらは飛ばしながら変更しましたが、Gyro Filter MultiplierもD Term Filter Multiplierも1.3まで下げて行きました。まだまだモーターも熱くないのでもっと行けると思うのですが、クラッシュの後などが怖いので、自分はいつもDefault Filteringから出ないくらいにしています。ここでフィルターを薄くすると目に見えてプロップウォッシュが減って行く感じがわかると思います。
最後にI Term Relaxだけは様子を見ながら設定しました。今回はAxes RPY、Type Setpoint、Cutoff 13で良さそうです。上記画像ではOFFになっていますが、Vbat PID Compensationは4Sの場合凄く効果的と思うので大体ONにしています。
他は最近熱心に比較出来ていないのであまり触らないのですが、Throttle Boostは搭載物の重さで調整すると飛ばしやすくなります。
と、言うのも、次回記事になってしまうのですがこのMicro Alienに4S 1550mAhバッテリーを搭載してみたり、いくつかのプロペラを比較したりしました。
ここまで搭載物が増えると当然200g未満でもないですし、3インチ機体を使う意味がわからなくなってくるのですが、結構立派に飛んでくれます。
RPM FILTERの効果もあって、なかなか面白い機体になりました。何より、SDガンダムみたいで可愛いですね。
上記写真のような場合は飛行方法に応じてThrottle Boostをあげておかないとちょっと大変です。
今回はここまで。次回は飛行での検証も交えて、もう少し掘り下げてみたいと思います。