久しぶりの更新
機体自体はとっくにできていたものの、記事の更新が後回しになっており、Pixhawkでの機体製作【3】を公開してから実に1年以上経ってしまいました。
約1年の間に状況は大きく変わるもので、PX4、Ardupilot共にドキュメントがアップデートされ、以前よりも多くの情報が手に入るようになっています。
特にPixhawkのハードウェアに関しては、Pixhawkを製造しているメーカーの1つであるHolybroの、メーカー独自のドキュメントが充実し、それと合わせてPX4やArdupilotのドキュメントもより充実したものになっています。
最新のハードウェアを使用する場合はメーカーが提供している情報を参考にするだけでも、基本的な構成であれば充分かもしれません。
Pixhawk関連のハードウェアはより一層の盛り上がりを見せていて、製品毎に設定すべきパラメーターが違っている場合が多いので、PX4やArdupilotのドキュメントと合わせてパーツメーカーの公開している情報も是非チェックしましょう。
STEP4から
この記事で使用しているパーツの多くが既に生産完了品となってしまっていますので、今更続きを書く必要はあまりないのですが、せっかくなので完成まで紹介したいと思います。
コネクタのレイアウトはアップデート版であるPixhawk 6C miniでもPixhawk4 miniとほとんど変わらないので、作業のイメージはかなり近いはずです。
Holybro_X500_FrameKit_AssemblyGuide (※生産完了品のV1) によると、もうトッププレートを取り付けてしまう工程になります。
今回トッププレートにFCモジュールを搭載しますが、トッププレートを取り付ける前に必要な配線を出したりまとめたりしておくのが良いでしょう。
MK15E エアユニットへの給電
前回の記事にも追記しましたが、MK15E エアユニットは初期のロットのみ6S-12S給電が必要で、それ以降のロットについては4Sでも動作するとのこと。
その為、パワーモジュールのバッテリー接続部にピッグテールを追加しMK15E エアユニットへ給電できるようにしました。
実は下記のURLからダウンロードできるV1.3の取説でこっそり仕様の部分が変更されています。
SIYI MK15E Mini HD Smart Controller Downloads
メーカーに問い合わせたところ、4Sで動作確認を行い問題がなければ4Sで使用可能。
いずれにしても4S電圧を入力することで破損することはないので試してみてくださいとのことです。
ピッグテールをMK15E エアユニットの給電コネクタに接続し、トッププレートの取り付け前に余分なケーブルはまとめました。
全体の配線
ここまでの作業で必要なハンダ付け作業は終了しました。
あとはコネクターでデバイスを接続していけば良いので、接続する場所さえわかっていれば作業自体は簡単です。
簡単な配線図を作成しました。
MK15E AIR UNITのLINKをPixhawk4miniのTELEM1に接続するところですが、隣のUART&I2CBに接続し、そのポートをMAVLINK出力に設定すれば恐らく問題ないと思うのですが、試したファームウェアではTELEM1がデフォルトでMAVLINK出力になっているようですので、この構成であれば上記の図の接続がおすすめです。
RCINに関して、Pixhawk 4 miniにはMK15E AIR UNITと接続するためのケーブルが同封されていません。ピンアサインを確認して自作するかHolybro Pixhawk4 to SIYI Air Unit Cableを購入する必要があります。
MK15E AIR UNITのVideoポートですが、エンタープライズ版では同じポートが2つあり、2つのカメラを接続してスイッチできるようになっています。
上記画像では右からS.Bus、Link、PWM、Video、Videoとなっています。
先程の画像からは上下逆になっていますが、上記画像のようにコネクターを接続しておきます。
最終的な接続を念頭に、FCとの接続以外は配線を済ませて、その先をトッププレートの上に出すか考えてからトッププレートを取り付けましょう。
Holybro X500はV2で大きく改善されているようですが、V1ではトッププレート取り付け時にコツが必要です。
ナイロンスナップと呼ばれる部品がズレてしまいますので、マスキングテープなどで仮止めすると作業しやすいです。
この部分もHolybro X500はV2では変更になっていますが、V1はアームの長さも多少可変できる構造となっており、逆に言えば全てのアームの長さを自分で管理する必要があります。
しっかり長さを揃えて仮止めしておきます。
それぞれのモーターが水平になるよう水平器などで確認し、微調整を行ってからしっかりネジを固定しましよう。
FCモジュールの取り付け
Pixhawk 4 miniは付属のフォームパッドでフレームのセンターに取り付けます。
FCには向きがあり、これは設定で変更することも可能なのですが、基本的には記載されている矢印が向いている方向を機首方向とします。
取り付けができたら配線していきましょう。
MAIN OUTの配線ですが、黄色い信号線が上になるように接続します。
また、列が分かりづらいので接続したい番号にちゃんと接続されているか、しっかり端からピンを数えて確認を行いましょう。
ESCからの配線にマスキングテープなどで番号を振っておくとミスが防げます。
上記画像はGPS以外の配線が完了した状態です。
ピンの数が違うものが多くあり、パーツを同じメーカーで揃えると、多くのコネクタが挿さるべきところにしか挿さらないので、分かりやすいのではないかと思います。
一番ピン数の多いGPSモジュールのコネクタを接続し、前回取り付けておいたGPSマウントにGPSユニットを付属の両面テープでとりつけます。
GPSユニットにも矢印が記載されており、矢印の先が機首方向になるように取り付ける必要があります。
STEP5 スキッドの取り付け
今回はスキッドを取り付ける前にSIYI MK15E IP Camera(現在はSIYI R1M レコーディング FPVカメラが後継品)をプラットフォームボードに両面テープで固定しました。
FPVカメラとしてはかなり大型で取り付け方法に困った結果とりあえず固定したのですが、必要に応じてマウントを自作するなど、工夫した方が良さそうです。
スキッドはAssemblyGuideの通り取り付けました。
最後にMK15E エアユニットのアンテナをアームにビニールテープで固定しましたが、この固定方法はX500V2ではできない為、ここでも工夫が必要になります。
Pixhawkでの機体製作
FPVやスポーツフライト用途で使用されるフライトコントローラーでの機体製作とは多少勝手が違うものの、Pixhawkでの機体製作はデバイスのほとんどがコネクタ接続になるので、特別難易度が高いというものでもありません。
比較するとパーツ単体の価格が高いのですが、GPSを使用して自動でホバリングしてくれるドローンらしい機体が比較的簡単に組めますので、そういった機体をDIYしたい方にはPixhawkシリーズや、そこから派生した製品が最適です。
さまざまな開発の用途で使用される製品でもある為、ファームウェアによっては設定の自由度が高く、その分表に出ているパラメーターが多かったりして、個人的にはその部分に多少慣れが必要だと感じますが、とりあえず飛行するベース機体というところであればドキュメントに沿って作業していけば完成させることができます。
いずれにしても基本的な飛行が出来るベース機体が手軽に組めるというのは、その先を目指すプロジェクトにとっては都合の良い事だと言えそうです。
特に初めての場合はなるべく同じメーカーでパーツを揃え、9〜10インチの機体を作成するところから始めると、情報も豊富で対応するパーツも多く、おすすめです。
一旦組み立てが完了しましたので、今後はこの機体を設定したり、改造したりして情報を発信していけたらと思います。