iNavFlightを利用した製作
今回 Armattan Bobcat 4” フレームをベースに、iNavflightというファームウェアにトライしてみました。
できることの幅が広く、マルチコプターをはじめ様々な形の機体を自作する際にちょうど良さそうなファームウェアです。
まだGPSを利用したホバリングに成功した段階なので、高度な設定はこれから少しずつ試そうというところなのですが、inav3.0.Xが公開され、inav2.6.Xの頃よりもずっと使いやすくなっているのではないかと思います。
軽量クルージング機 Armattan Bobcat 4”フレームの特徴
今回はArmattan Bobcat 4” のフレームを使用しました。
Armattan Bobcat 4” の特徴を見てみましょう。
SUB250g 4インチフレーム
ArmattanからリリースされたBobcat 4”。フリースタイル用フレームを得意とする最近のArmattanの製品の中では特殊なフレームに仕上がっていると言えます。
SUB250gなどと呼ばれる、米国で規制対象から外れる250g以下の機体に仕上がるよう軽量化が強く意識されていますね。
軽量でありながらアクティブなフライトに対応できる浮力が得られるよう、4インチ〜5インチが好まれ、このクラスの関連商品は昨年頃から、さまざまなメーカーで盛んに関連商品がリリースされています。
基板選択の幅が広いクルージング機
日本国内での重量規制はより厳しいため、重量の面では最大限の恩恵を受けられませんが、このクラスでの使用が想定されたモーターやエレクトロニクスのラインナップも今では豊富なので、パーツ選択の幅も広いです。
アルミパーツでFPVカメラが保護されているものの、非常にアームが細く、お世辞にもクラッシュへの耐性が高いとは言えませんが、アームの取り付け位置は二箇所から選択できる設計になっていて、20mm×20mmもしくは16mm×16mmのスタックの取り付けが前後二箇所で可能。
パーツ構成の自由度についてもよく考慮された設計で、構成を楽しめ、それでも5インチと比較するとかなり手軽さのある機体と言えそうです。
このBobcat 4”はクルージング機とされていて、どちらかと言うと優雅に空を飛び回るイメージ。
モーターサイズやバッテリーの容量のバランスによってはそれなりに長時間の飛行も可能になるのではないかと思います。
今回制作した機体は4S 1600mahのバッテリーで7分以上ホバリングが可能でした。
記録カメラを搭載していなかったので、実際に記録カメラを搭載して飛び回るともっと短い飛行時間になるとは思いますが、それでもこの手の機体としては長い飛行が可能のように思います。
組み立ても安心
ARMATTANのフレームには組み立て説明書が付属していますので、組み立て方で困ることはないと思います。
ARMATTANといえばフレーム保証で有名なメーカーですが、Bobcatに関してはアーム以外の全てのカーボンパーツとアルミパーツのみ保証対象となっています。
iNavFlightとは?
まず、オフシャルな情報の紹介です。iNavflight概要は下記のURLを是非ご参考ください。https://github.com/iNavFlight/inav/wiki
iNavflightはBetaflightと同じようにcleanflightから派生したファームウェアで、マルチコプターはもちろん、固定翼など様々な形の機体制御が可能です。
GPSセンサーを使用した機体制御に力を入れていて、ウェイポイントミッションに対応している点も大きな特徴の1つです。
Betaflightはマルチコプタータイプのスポーツフライトの制御に特化するなかで、cleanflightに備わっていた様々な機能を失い、主にACROフライトのユーザーが使いやすい形に進化しました。
Betaflightが削ぎ落としたいくつかのアイディアだったり、機能の可能性を育て、進化させているのがcleanflightから派生したBetaflight以外のファームウェア、具体的にはEMUflightやiNavflightがそれにあたります。
もともと同じファームウェアから派生した兄弟なので、インターフェースがどれも似ており、どれか1つをある程度把握してしまえば、他のものを使用するハードルが非常に低くなるのも良さの1つです。
また、そんな兄弟達の誰かが発見した便利な機能が移植されたりするケースも多いようで、全体として進化の速度が速いというのも特徴と言えそうです。
iNavflightは固定翼のユーザーにも非常に人気があるようで、固定翼専用のページがありました。
ちらっと見ていると何だか楽しそうで、いつかトライしてみたいなと思います。
もし固定翼のほうにご興味がありましたら是非下記のURLもご覧ください。
INAV FIXED WING GROUP
https://inavfixedwinggroup.com/
マルチコプター制御におけるiNavFlightの特徴
マルチコプターの制御に限って言うと、iNavflightとBetaflightとの決定的な違いはGPSホバリングができるかどうか、という点と言えます。
Armattan Bobcat 4” はクルージング機ということもあり、用途としてはちょうど良いのではないかと考えてiNavflightにトライしてみました。
下記のURLでBetaFlightユーザー向けのINAVというドキュメントが読めますので、BetaFlightならある程度わかるという方は一度目を通しておくと参考になりそうです。
コンフィギュレーターが似ているとは言え、別の物なので、BetaFlightの知識だけでは当然うまく行きません。
大きな違いや初めに注意すべき設定が記載されています。
https://github.com/iNavFlight/inav/wiki/INAV-for-BetaFlight-users
制作機体の構成
今回使用したパーツリスト
フレーム | Armattan Bobcat 4" フレームキット |
FC | Holybro Kakute F7 mini Flight Controller |
ESC | HGLRC FD35A 4in1 ESC BL32 3-6S ESC |
FPV Camera | RunCam Eagle 3 |
VTX ・アンテナ(付属) | TBS Unify Pro32 Nano 5G8 V1.1 |
モーター | Armattan 1404 Motors (KV 2750) |
プロペラ | HQ Durable Prop T4x2x3 (2CW+2CCW) |
GPS&コンパス | HGLRC M80PRO GPS QMC5883 Compass |
受信機 | FrSky XM+ |
今回は使い古しの基板を使用して作ってみたのですが、FCはHolybro Kakute F7 mini Flight Controllerの初期モデル。
現行モデルはV2になりますが、初期の頃から使っているものがまだ生きているので今回使用しました。
セットで購入したESCの方は焼けてしまい、HGLRC FD35A 4in1 ESCを使用。
このFCとESCはピンアサインが異なり、そのまま接続してしまうと壊れてしまうためワイヤーを差し替えて使用しています。
基板を搭載すると、スリムな設計が際立ちますね。
フライトコントローラーとESC間の配線
メーカーの違うFCとESCや、リリースされた時期の違うFCとESCを組み合わせて使用する場合はピンアサインをよくご確認ください。
今回HGLRC FD35A 4in1 ESCそれ自体の資料を探すことができなかったので、購入したHGLRC FD435 STACKと言う形の商品の資料と付属するワイヤーからESCのピンアサインを特定し、それに合わせて一旦コネクターからワイヤーを引き抜き、差し替えました。
今回の場合BAT+以外の全てのワイヤーを差し替えています。
ピンアサインの変更方法
ワイヤーのピンアサインの変更は、コネクターの爪をピンセットなどで押し上げてピンをワイヤーを引き抜く方法と、ワイヤーを切断してハンダで接続しなおす方法などがあると思います。
どちらも人から教わったわけではなく我流ですが、追加で何か購入する必要がないので便利です。
部品を揃えて新品のコネクターにピンを刺していく方もいるかも知れません。
新品のコネクターパーツを揃えて1から作るのは模範的ですが、そんなに細かいパーツを揃えている人は珍しいのではないかと思います。
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ワイヤーを引き抜く方法
ワイヤーを引き抜く方法はコネクターの爪を痛めないように、またワイヤー自体を傷つけないように慎重に行います。
差し直した後の強度が不安なら、根元をホットボンドで固定すると多少補強されます。
うまく爪を持ち上げればそんなに引き抜く力はいらないので、無理矢理引き抜かないようにしましょう。
- ワイヤーを切断し、再度接続する方法
先の細いピンセットをお持ちでない方はこちらがおすすめ。一度切って、ハンダでつけて、熱収縮チューブで絶縁すればOKです。
絶縁している部分が太くなってしまうので、見栄えが悪いのと、邪魔になるのがデメリット。
- なるべくそのまま使用できるものを
もしチャレンジする場合、自己責任でお願いします。
意外と事前に確認できないものなのですが、慣れないうちはFCとESCメーカーやシリーズを合わせて購入するのが楽だと思います。
また、最近のHGLRC ZeusシリーズのESCや、FETtec のFCや4in1ESC、FLYDUINO KISS FC V2などはコネクター意外にもハンダパッドでESCやFCと接続できるようになっているので、そういう基板はこういう場合に使いやすいですね。
フライトコントローラーと各パーツへの主な配線
FCと各パーツへの主な配線は上記画像のようになりました。
HGLRC M80PRO GPS QMC5883 Compass以外は通常のFPV機を製作するのと同じで、特別な事はありません。
Armattan Bobcat 4"はミニサイズのFPVカメラに適合するカメラゲージを備えているので、今回はRunCam Eagle 3を使用しました。
気圧高度計の使用
Betaflightではあまり使用しないのにもかかわらず、最近のフライトコントローラーには多くの場合搭載されている気圧高度も、iNavflightでは高度維持に使用されます。
スポーツフライト向けの基板に搭載された気圧高度計は、そこまで信頼性が高いものではなく、剥き出しのため風などの影響もダイレクトに受けてしまいますのでiNav flightで使用する場合はフォームで覆うと良いとのこと。
GPS・コンパスセンサーの取り付け
コンパス付きのGPSセンサーを搭載するため機体の電気周りにコンパスが影響を受けないよう、センサーを5センチ程度持ち上げて搭載しました。
このスタンドは確かDJI NAZA V2の付属品だったもので、機体の大きさに対して長すぎたのでカーボンの棒をカットしています。
この程度持ち上げるだけでも非常に良好のようです。
根元がグラグラしないように両面テープに加えてタイラップでしっかり固定しています。
手軽にトライできるINAV
今後も引き続き【iNavFlight入門】記事で、今回製作した機体の設定でつまずいたところを中心に紹介していきたいと思います。
組み立ててみて、ほとんど通常のFPV機と構成が変わらないので、非常に挑戦しやすいと思いました。
個人的にはどちらかと言うとFPVフリースタイルに熱中しているタイプで、もっと上達したいという部分が興味の中心ですが、FPVドローンが必ずしもACROフライトで技量を磨く人たちだけのものでもありません。
もっと様々な楽しみ方があったも良いのではないかと思います。
このiNavFlightは機能を充実させたり、ドローンをDIYする事それ自体を趣味とする方にもおすすめですし、ACROフライトを中心に使う方が撮影などで使いやすいよう補助的な機能を追加するにも良さそうです。
まだ【iNavFlight入門】というレベルですが、何かの参考になればと思います。