PX4 設定【1】ファームウェア・フレーム設定

目次

Section 1

PX4 Autopilot

「PX4 Autopilot」というファームウェアを使ってPixhawkでの機体製作を紹介します。

このシリーズでは、以前に「Pixhawkでの機体製作シリーズ」で作成した機体を設定して飛行させるまでの手順を紹介します。

「Pixhawkでの機体製作シリーズ」で使用したパーツでは、「Ardupilot」という別のファームウェアも利用できます。
どちらかと言うと国内では「Ardupilot」の方が多く使われていると思いますが、今回は「PX4」の方を試してみましょう。

基本情報はPX4 Autopilot User Guideに全て書かれています。
こういったものはまずオフシャルな情報を確認するのが近道ですので、詳細はそちらもご確認ください。

PX4 Autopilot User Guide
https://docs.px4.io/main/en/

    PX4 Autopilot User Guideに日本語版のモードはありませんが、ブラウザの翻訳機能を使えば基本的なところについては概ね理解できるのかなと感じました。
    この記事の中でも、PX4 Autopilot User Guideで対応するページをその都度紹介します。
    作業をしていて分かりにくいと感じた部分もありましたので、そういった点については記事の方で詳しく紹介できたらと思います。

    「Pixhawkでの機体製作シリーズ」は2022年8月頃に公開しましたが、実はその時既に設定は完了して飛行可能でした。
    せっかく新しく書くので、最新情報を踏まえて設定を見直し、現時点で最新版のQGroundControlを使用したいと思います。
    以前の設定が引き継がれることもあるため、完全な初期状態からの紹介ではなくなってしまうのですが、一部初期状態でしかみられない画面などは2年前の画面録画の画像を利用して紹介します。

    Section 2

    Basic Concepts

    PX4 Autopilot User Guideを読み始めるにあたって必要な基本的な知識がBasic Conceptsとしてまとめられています。
    既に様々な機体を作成されている方は大体ご存知の内容かと思いますが、PX4の特徴や各パーツの特徴についても理解しやすく記載されており、このページのリンクからより詳細なページに移動できますので、是非ご一読ください。

    Basic Concepts
    https://docs.px4.io/main/en/getting_started/px4_basic_concepts.html

    PX4 Autopilot User Guideの「Basic Concepts」には、PX4においてプロポ(リモートコントローラー)は必須ではないと明記されています。
    しかし、今回は「Pixhawkでの機体製作シリーズ」で作成した機体を使用するため、SIYIのMK15Eというプロポを使用しています。

    このシリーズではPX4の設定に重点を置くため、プロポ側の設定については多くを割愛します。
    SIYI MK15Eのマニュアルは、2年前のV1.0〜V1.2からV1.5に更新され、内容が充実しています。もしSIYI MK15Eをお使いの場合は、下記のURLから最新のマニュアルをダウンロードして設定を進めてください。

    SIYI MK15E HD Smart Controller Downloads
    https://siyi.biz/en/index.php?id=downloads1&asd=186

    Section 3

    QGroundControlのインストール

    まず、PX4を設定するためのアプリケーションをダウンロードし、インストールしておきましょう。
    詳細は下記のQGC Guideに記載されています。

    Download and Install
    https://docs.qgroundcontrol.com/master/en/qgc-user-guide/getting_started/download_and_install.html

    PX4 Autopilot User Guideのリンクから移動できるページは、実際にはPX4 Autopilot User Guideではなく、QGC Guideの一部のようです。
    今回は特に問題ありませんでしたが、PX4とQGroundControl(QGC)は別の開発プロジェクトだと認識しておくと良いかもしれません。

    SIYI MK15Eを使用している場合、プロポに搭載されているQGroundControlを使って設定を進めることも可能です。
    しかし、表示が重なってボタンが押せなかったり、一覧が見にくかったりするため、特に初期設定はPCに接続して行うのが良いと思います。

    先程のURL、または以下のURLからご自身のシステムに合ったQGroundControlをダウンロードしてインストールしてください。
    http://qgroundcontrol.com/downloads/

    Section 4

    QGCの言語設定

    自分はほとんど英語ができませんが、初めてのアプリケーションで全て英語表記だと全体感を把握するのに時間がかかるものです。
    突き詰めていくと英語の方が分かりやすく便利になってくる事も多いとは思うのですが、QGCにそこまで慣れていませんので、今回は日本語表示にしたいと思います。

    インストールした時点で、PCの方で設定されている言語になっている方も多いと思いますが、もし英語表記になっていて日本語に変えたい、もしくは逆に英語にしたい、という場合は下記の手順で変更できます。

    インストールしたQGroundControl(QGC)を起動し、左上にある紫色の「Q」マークのボタンを押すと機体設定、解析ツール、アプリケーション設定と3つの項目が表示されます。
    アプリケーション自体の言語を変更するにはアプリケーション設定をクリックします。

    左側にいくつかタブが現れ、一番上の全般が表示されますので、そのページを下にスクロールしていくと言語設定があります。

    日本語の選択肢はないのですが、PCが日本語で設定されている場合は「System」を選択する事でほとんどの部分が日本語表示になります。
    少し怪しいところはありますが、比較的意味の取りやすい日本語表示かと思います。

    言語設定を変更した直後は表記が変更されていないといった場合もあるのですが、アプリを落として再起動すると表記が更新されたりしますので、変更が反映されない場合はお試しください。

    Section 5

    ファームウェア

    いよいよ、PixhawkのフライトコントローラーにPX4をインストールしていきます。
    こちらもユーザーガイドにしっかり手順がまとまっています。

    最近のPixhawkを購入して初めにファームウェアを入れる場合はあまり問題が起きないと思うのですが、以前に他のファームウェアを入れて使用していたものや古いものなどは、スムーズにインストールできない場合も考えられます。その場合は下記の「Loading Firmware」のページを熟読する事で何かヒントが得られるかもしれません。

    Loading Firmware
    https://docs.px4.io/main/en/config/firmware.html

    先ほどと同様に左上にある紫色の「Q」マークのボタンを押し、今度は機体設定をクリックします。

    PX4のフライトコントローラーがUSBや無線で接続されていると、この時点で左側にずらっと設定項目のタブが表示されるのですが、今は何も接続されていないので、表示されるのは概要とファームウェアのみとなります。

    上から2番目のファームウェアを選択し、ここで初めてUSBでフライトコントローラーとPCを接続します。

    PixhawkはUSBからの給電で起動するので、この時点では機体にバッテリーを接続する必要はありません。

    自分の場合、新しいバージョンのQGCにFCを繋いだ段階でアップデートが始まってしまいました。

    フライトコントローラーを新しく購入して接続した場合、恐らく上記とは違う流れになるのではないかと思います。

    上記は2年前に画面録画しておいたものでインターフェースが古いのですが、同じ設定項目のものです。

    初期状態でFCを接続するとQGCが接続されたデバイスを読み取った上でPX4を入れるのか、Ardupilotを入れるのか、もしくはAdvanced settingsにするのか、選択肢が表示されますので、PX4を選択します。

    最新バージョンのQGCではこの選択項目が画面センターに表示される形のようです。

    希望の項目を選択するとファームウェアのインストールが始まるので、しばらく待ちます。

    完了すると、再度接続され設定画面が現れます。

    英語版だとSummary、日本語版だと概要の項目で機体の主要な設定や状態が一覧表示されており、赤くなっている部分に問題がある事が一目でわかるようになっています。

    何も設定していない状態ですと、基本的に全て赤になっている事がわかります。

    現状設定を進めているものに関しては、以前に設定した内容が残っているのかいくつかの内容が完了しており、緑で表示されていました。

    Section 6

    フレーム設定

    フレームの設定を行う前に、PX4 Autopilot User Guideの下記のページを確認するとよいでしょう。

    Standard Configuration
    https://docs.px4.io/main/en/config/

    上記Standard Configurationで羅列されている設定を順次進めていく形になります。

    設定手順としてはまずVehicle (Frame) Selectionを設定しなくてはならず、その他はどの順番で設定しても問題ないようです。

    PX4やArdupilotのファームウェアの特徴について以前にも記載しましたが、PX4は様々な形状の機体を制御する事ができます。

    ローバー(車)とマルチコプターでは設定項目が違ってくるであろうことは何となく想像できるかと思いますが、フレームの選択がその先の設定にも影響を及ぼすので、何はともあれ初めにフレームを設定しておく事が重要となります。

    フレーム設定について詳細は下記のURLにまとめられています。

    Vehicle (Frame) Selection
    https://docs.px4.io/main/en/config/airframe.html

    上記はQGCのフレーム設定画面です。
    左側のタブからフレームを選択する事で表示できます。

    今回X500フレームで標準的なマルチコプターを作成していますので、Quad Copterタイプを選択し、ドロップボックスからHolybro X500V2を選択しました。
    実際に使用しているのはHolybro X500の初期バージョンフレームなのですが、サイズや全体的な仕様はほとんど変わらないのでそこまで問題ないものと思います。

    2年前はここにX500のプリセットはなく、サイズが同じHolybroのS500のプリセットを利用していましたが、アップデートされたQGCにはX500も追加されているようですので、これで再設定したいと思います。

    フレームを設定したら忘れずにページの一番上に戻って「適用して再起動」ボタンを押しましょう。

    これをクリックしないと設定が保存されず、フレームが選択されていないと他の設定も基本的にはできませんので、先に進む事ができません。
    わかってしまえば簡単な事なのですが、初めてPX4を設定した時にここで何時間か頭を抱えた事がありましたので、お気をつけください。

    「適用して再起動」を押すとフライトコントローラーが再起動し、再度接続されます。

    自分の機体はすでに設定されているものが引き継がれていますので、今は上記画面の状態にならないのですが、初めて設定する場合、先ほどは赤だった左上のAir Frame(日本語版ではフレーム)にある丸が緑色に変化しました。

    こうやって設定が済んだ項目がわかりやすく表示されます。
    フレームの設定はこれで完了です。

    まだ始まったばかりですが今回はここまでとし、次回はセンサの設定を紹介します。

    HolybroPixhawkPx4

    JACK によるブログ

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