Ardupilot Roverの製作【5】コンパス

目次

Section 1

Receiver・GPS & Compass の配線

今回はコンパスのキャリブレーション作業を紹介します。

作業を開始する前に、今回のコンパス、次回のラジオ(プロポ)のキャリブレーションで使用するセンサーの配線を確認しておきましょう。

今回のパーツ構成では、FCとして MATEKSYS F405-STD、受信機に Frsky XM+、GPS & Compass センサーとして Holybro Nano M8 5883 GPS Module を使用しています。

加速度計は一般的にFCに搭載されているものになりますので、FC単体でもキャリブレーションできるものと思います。

コンパスに関して、今回使用している MATEKSYS F405-STD にはコンパスが搭載されていない為、外付けのコンパスを接続する必要があります。

Pixhawk シリーズなど箱型のFCでは、FCユニットの中にコンパスが入っているものも多いですが、機体の中でFCを搭載するのはかなり内側になることが多く、付近に電源などの配線がレイアウトされたりモーターに周囲を囲まれたりと、特にマルチコプタータイプでは非常に磁気干渉の強い環境にレイアウトせざるを得ない場合が多いです。
その為、コンパスが内蔵されているFCを利用する場合であっても、外付けのコンパスを接続し、条件の良い場所にレイアウトすることが推奨されます。

GPSアンテナは衛星からの電波をよりうまく受信できるよう、高い位置に設置するのが良いとされていますが、多くの場合その位置はコンパスにとっても条件が良く、GPSとコンパスが一体化した製品も多くリリースされています。
今回使用している Holybro Nano M8 5883 GPS Module もGPSとコンパスが一体化した製品です。

受信機に関しては次回にもう少し詳しく紹介しますが、受信機を介してプロポと通信出来ないとラジオキャリブレーション作業が出来ませんので、作業前に受信機の配線、さらにプロポと受信機がバインドされて通信可能な状態になっているかを確認しました。

Section 2

コンパスの校正

次にコンパスタブからコンパスの校正を実施します。

コンパスの校正についても下記のArdupilotのドキュメントで紹介されています。

Compass Calibration
https://ardupilot.org/copter/docs/common-compass-calibration-in-mission-planner.html

コンパスの校正のページへは、Mission Planner の①で示した初期設定ボタンをクリックし、左側に表示されるタブから必須ハードウェアを開いて②のコンパスをクリックする事で移動できます。

基本的には③で示したStartボタンをクリックして機体をぐるぐる回す事でコンパスの校正を実施します。

回し方ですが、前回 Accel Calibrationの3-axis キャリブレーションで保持した LEVEL / BACK / NOSE DOWN / NOSE UP / LEFT / RIGHT の6つの姿勢で水平方向に360度以上機体を回します。

前回もお伝えしましたが、上記画面は説明の為にQGCの画面を掲載しているだけですので、Mission Planner上でわかりやすく表示されるというわけではありません。

各イラストの姿勢で水平方向に360度回せばよく、①の矢印で示したような回転になるのですが、回転方向はどちらに回しても問題ありません。

あまり変更しなくても大丈夫な場合が多いですが、このページにはいくつか設定項目があります。

詳細は下記のArdupilot ドキュメントで説明されています。

Advanced Compass Setup
https://ardupilot.org/copter/docs/common-compass-setup-advanced.html

①で示した範囲には認識されているコンパスが一覧表示されています。

Pixhawkシリーズなどの場合、FCユニットにもコンパスが搭載されていることが多く、GPSと一体化している外付けもつけていると、ここに複数個のコンパスが表示される事になります。

一覧表示されていないものは認識されていませんので、しっかり給電されているか、配線に間違いがないかなど確認する必要があります。

②で示した範囲に各コンパスの設定がありますが、右にある Up / Down ボタンで優先順位を変更できます。

複数のコンパスを搭載する構成で、コンパスの優先順位が自分の意図するものと違っている場合などに修正できます。

コンパスはしっかり認識されているものの、何度試してもコンパスキャリブレーションが成功しない場合、③で示したFitnessの設定で、コンパス校正の厳しさを調整できます。

しかし、可能であればこの設定を変えるよりもコンパスの搭載位置や取り付け方法を確認し、改善する方が良いものと思います。

コンパス校正後はFCの再起動が必要です。

④で示したところにRebootボタンがありますので、校正が無事に完了したらこのボタンをクリックします。

キャリブレーション中は姿勢の指示はありません。

上記画像①で示したゲージと②で示したパーセント表示が増加していくのですが、増加が緩やかになったら姿勢を変えるイメージで作業するとスムーズに校正できます。

1度100パーセントまで行ったら完了ではなく、何度かまた0%から始まったりしますので、根気よく続けて、上記画面のように MAC_CAL_SUCCESS のメッセージが表示されれば完了です。

②のOKボタンをクリックし、FCを再起動します。

コンパスが複数個搭載されている場合は、Mag 1以外のコンパスも同時に校正されます。

Section 3

コンパスの校正がうまくいかない場合の処置

コンパス校正が失敗する原因は、磁気干渉の強い周辺環境にあると一般に言われます。
当然周辺環境の影響も大きいので、周辺に鉄成分が多い環境を避けたりなるべく家電などから遠ざけたりといった工夫は必要です。

ただ、PCとFCをUSBで接続し、PCと機体を一緒に持ってぐるぐる回る形で校正しても成功しますので、コンパスキャリブレーション失敗の原因が必ず周辺環境というわけでもないかと思います。

特に自作している機体の場合、コンパスやFCの固定が弱いなど、校正作業中にFCとコンパスの位置関係が簡単に変わってしまったり、機体の中で電源や金属など磁気干渉の影響が強いところにコンパスを取り付けていると、何度やっても校正に失敗する原因となります。

FCやコンパスをしっかり取り付けずにキャリブレーション作業を行っている場合は、しっかり固定してから実施しましょう。

フレームの形状や面積の関係で、どうしても他の基盤の近くにコンパスをレイアウトせざるを得ない場合は、基板とコンパスの間にアルミ箔をはさむだけでも改善する場合があります。

アルミ箔は通電しますので、アルミ箔にビニールテープを貼って直接触れないようにしたり、基板を熱収縮チューブなどで覆うなどの処置は当然必要です。

コンパスがモーターに近すぎて磁気干渉を受けているような場合はアルミ箔などで対応することはできませんので、コンパスの取り付け位置を再検討する必要があります。

今回はCompassキャリブレーションを紹介しました。

次回は今回の冒頭で配線について少し触れたRadio(プロポ)のキャリブレーションを紹介します。

ArdupilotHolybroMateksysRover

JACK によるブログ

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