【iNavFlight入門⑤】iNavFlightの設定<4>

iNavFlightの設定と感想

前回に引き続きiNavFlightの設定タブを紹介したいと思いますが、【iNavFlight入門】シリーズは今回で最後になります。

今回作成した機体でのテストフライトの様子を動画にまとめましたので、もしよろしければあわせてご覧ください。

 【iNavFlight入門⑤】ではAdjustments、GPS、Mission Control、OSD、LED Strip、Sensors、Tethered Logging、Blackbox、CLIの8つのタブをざっと見ていきましょう。

OSDの表示はカスタマイズしてみたので、少し詳しくご紹介したいと思います。
まだ使いこなせていない感じはあるのですが、INAV特有の表示が出来て、結構面白かったです。

最後にArmattan Bobcat 4”で組んでみての感想やINAVの機体を運用する上での注意点や気づいたことも記載したいと思います。

Adjustments

Adjustments

Adjustmentsタブは主にスイッチなどにより複雑な機能を持たせる使用するようです。

基本的なマルチコプターの飛行の上ではそんなに使用する機会がないようにも思いますが、別の形状の機体であったり、サーボなどを含むオプションを搭載する場合に使いそうです。

下記のURLに多少参考になりそうなドキュメントがありましたので、ご興味のある方は合わせてご参照ください。

https://github.com/iNavFlight/inav/blob/master/docs/Inflight%20Adjustments.md

GPS

GPS

GPSタブでは、特に設定はありません。
現在のGPSセンサーのプロパティが参照できます。

当然、GPS衛星を受信して位置を測定出来ないと、上記の画像のように何も表示されません。

今回製作したBobcat 4”はFCにUSBから給電されているのみの状態ではGPSセンサーにまで給電されないので、バッテリーを接続し屋外でGPS衛星を受信できる環境に置かないと、ここで数値や地図上のポイントは見られないです。

受信衛星の数(GPS Satellites)だけでなくHDOPの値にも注目

色々並んでいますが、個人的に運用面でも非常に参考になると考えているのはHDOPの値。

これは後ほどご紹介するOSDでも表示可能なのですが、HDOP=Horizontal Dilution of Precisionというものらしく、少し調べてみると水平方向の測位精度を指数化した値としてGPSセンサーでは一般的に知られるもののようです。

大きいほど精度が低く、小さいほど精度が高いものなのですが、いくつかの場所でテストし、数値が低いコンディションの時(環境にもよりますが、今回のテストで良い時は1.0〜1.2位でした)は非常に安定しているのに対し、数値が高い時(環境が悪い時など2.7以上)は、かなりフラつく印象を受けました。

今回使用したINAV3.0.1では、デフォルトで衛星の数(Sats)6以上でGPS FIX扱いになりますが、HDOPが2以上の時はGPS関連の機能がそこまで信頼出来ない状態であると考えるのが良さそうです。

 Mission Control

Mission Control

Mission Controlタブではミッションの作成、読み込みや書き込みができるようですが、まだテストしていません。
上記画像をみても何のことやらという感じですね。

下記のドキュメントを読むと、INAVconfigurator以外のツールを使用する方が良いようです。
とは言え、このGUI上の操作でもシンプルなミッションの作成や現状書き込まれているミッションを参照するには役立ちそうですね。

https://github.com/iNavFlight/inav/wiki/iNavFlight-Missions

OSD

OSD

OSDタブではFPV映像に付加する文字情報の選択やレイアウトの変更、フォントの変更などが行えます。
表示できる情報が非常に多いですね。

動画のテストで使用したOSD表示項目

OSD settings

参考に、OSD表示で便利そうなものを並べて見たので、上記画像を元に15個ご紹介したいと思います。

1.Throttle Position

スロットル位置が%で表示されます。

特にスロットルがセンターロックではないプロポを使用する場合で高度を固定したい場合、数値を表示しておくと多少参考になるかと思います。

2.mAh drawn

この数値は消費電流の値で、本来は電流計を校正して使用するべきなのですが、電流計が多少狂っていても飛行して、使用したバッテリーをチェッカーで計測しておく事でなんとなく機体を戻すべき数値がわかって来ると思います。

3.Battery Voltage

この数値は電圧計の値です。

スロットルを引き上げた際に落ち込むので、単独で瞬間的には参考になりませんが、現在の飛行状況や飛行時間とあわせて見ると、バッテリーの残量を知る上で非常に有力な情報となります。

4.Map Reference

この表示は8番のMap (Up is north)or (Up is the takeoff direction)の補助的な表示で、(Up is north)に設定されている場合は上記のようにNと上矢印(このグラフィックは北が上ですよという事)になります。

(Up is the takeoff direction)に設定されているとTと上矢印の表示になるようです。

5.GPS HDOP

先ほどGPSタブでご紹介したHDOPです。

個人的にはかなり参考になるので、表示することをおすすめします。

6.GPS Satellites

GPS衛星の受信個数です。

デフォルトでは6以上でアーム可能になるようで、こちらもGPSを利用する上で非常に重要な情報になります。

7.Heading Graph

機体が東西南北どちらを向いているか、という情報です。

いつでも東西南北を把握しているという方は少ないと思うのですが、この表示が明らかに間違っている場合や、地上で機体を動かしていないのにゆっくりと方位が変わってしまう場合はコンパスに問題がある可能性が高いので、チェックしましょう。

もちろん東西南北を事前に確認しておけば飛行中も重要な情報となり、見た目にも操縦している気分を高めてくれるのでおすすめです。

8.Map (Up is north)or (Up is the takeoff direction)

この表示は、非常にシンプルなグラフィックですが、ホームポイントと機体の位置関係を示したマップになっています。

飛行すると矢印が現れ、すごくざっくりですが、ホームポイントと機体の位置関係をリアルタイムに表示します。

役に立つかというと、余程長距離だったり、視界不良の時以外はそんなに役に立たないような気もしますが、RTHの時など眺めていると面白かったり、少し安心出来たりします。

9.System Messages

エラーや機体からのメッセージが表示されます。

なぜかアームしない時など、このメッセージが非常に重要なヒントになります。

10.Altitude

利用している気圧高度計(それ以外の場合もありますが)の品質によっては、そんなに正確ではないと考えられるのですが、機体の高度を表示します。

高度によってRTHの動作が変わるモードがあるので、実際にどのくらいの高さを飛んでいるかを知る為だけでなく、機体がどの高さを飛んでいると認識しているかを知る上でも重要かなと思います。

11.Flymode

この表示は現在のフライトモードを表示します。

ACRO飛行をメインにしている方は特に、モード切り替えを忘れがちかと思いますので、INAVを使用する上では表示すると便利です。

12.RSSI(Signal Strength)

プロポからのRC信号の受信強度を表示します。

お使いのプロポと受信機でRSSIの機能があり、設定していれば数値で表示可能です。

13.Map Scale

こちらも8番のMap (Up is north)or (Up is the takeoff direction)の補助的な表示で、グラフィックの縮尺を表示します。

14.Ontime

これはタイマーで、電源を入れてからの時間が表示されます。

15.Flytime

こちらもタイマーで、飛行時間(正確にはアーム状態にある時間)を表示します。
バッテリーの残量を判断する上で非常に重要な情報となります。

INAVだからこそ、こだわりたいOSD

センサーの状況などで動作が変わるINAVだからこそ、なるべく多くの情報を瞬時に把握できるよう、自分にとって都合の良いオリジナルなOSD表示にこだわるのが良さそうです。

機体の速度や飛行距離を数値で表示する事もできるので、グラフィックで表示するよりも数値で表示するのが分かりやすいという方、もしくはどちらも必要だという方など、それぞれかと思います。

CRSF RX StatisticsというTBS CROSSFIRE関連の表示で、デフォルトで表示されているものがあり、今回公開した動画でも表示しっぱなしになっているのですが、 TBS CROSSFIREを使用していないので全く機能していません。

そもそもOSD情報の意味がわからなかったり、ちゃんと機能していなかったり、表示しすぎて画面が見づらくなってしまっては逆に不便になってしまいますので、テストを繰り返して自分にとって理解しやすい表示を選定していくのがよいと思いました。

LED Strip

LED Strip

LED StripタブではLEDの色や点灯方法などの設定が可能です。

今回LEDは搭載していないので試していませんが、インターフェースはBetaflightと共通のようなので、設定に際してBetaflightの資料なんかも参考にできるかと思います。

Sensors

Sensors

Sensorsタブでは、特に設定を行うという訳ではなく、センサーが読んだ値の確認ができます。

そもそもセンサーを認識しているのかどうか、といったところから、そのセンサーに対して知識があれば、取り付け方法が間違っていないかどうか、もしくはおかしな値になっているかどうか、などの確認もできそうです。

Tethered Logging

Tethered Logging

Tethered Loggingタブですが、下記のような説明が記載されています。

”データはこのタブにのみ記録され、タブを離れるとログがキャンセルされ、アプリケーションは通常の「コンフィギュレーター」状態に戻ります。グローバル更新期間は自由に選択できます。パフォーマンス上の理由から、データは1秒ごとにログファイルに書き込まれます。”

この説明から考えると、USBで接続された状態でのみ使用できるロガーということかと思います。主にベンチでセンサーのログをとって分析するためのもののようです。

Blackbox

Blackbox

Blackboxタブ、こちらで設定するログはFCに搭載されているメモリか、SDカードスロットの付いたタイプのFCならSDカードに保存できるログです。

下記のURLから専用のログ解析アプリ、INAV Blackbox Explorerがダウンロード可能です。

https://github.com/iNavFlight/blackbox-log-viewer/releases

ANGLEモードやHORIZONモード、さらにはNAV POSHOLDでPIDが適切かどうか判断するのは相当難しいと思うので、突き詰めるなら、こういったツールを利用できると良いと思います。

CLI

CLI

最後のタブはCLIタブです。cleanflight系列のファームウェアでは基本的には利用可能なものですね、コマンドを入力して設定を変更するインターフェースです。慣れないと分かりづらいですが、いくつかよく使うコマンドを覚えると格段に便利に感じます。

cleanflight系列なので、Betaflightと共通で使用できるコマンドもあると思うのですが、バージョンごとに追加されたCLIコマンドが下記のURLのリリースページで掲載されているので、合わせてご参考ください。

https://github.com/iNavFlight/inav/releases

GPSホバリング、スイッチを使用したRTHテストをおこなった感想

実際にiNav flightの機体をテストしてみて、DJIをはじめとする一般に普及するドローンには今時標準的な機能となっているGPSホバリングがFPV機で実現すると非常に便利だとあらためて感じました。

GPSホバリングができると当然手放しである程度安定するので、飛行中にFPVゴーグルをつけたり外したりもできますし、目視とモニターの組み合わせでも充分運用可能。

狭い離着陸場にFPV操作で着陸するのはかなりの慣れとスキルが必要ですが、GPSホバリングモード(iNavではNAV POSHOLDモード)に切り替えてゴーグルを外せば簡単にピンポイントで着陸することができます。

足場が限られている状況や、広げた狭いシートから外れて着陸するとモーターのマグネットに砂鉄がびっしり付いてしまうような時にも便利ですね。

また、アクロモードのFPVフライトでホバリングと言うのは、目標物が視界にない場合ほとんど不可能ですが、GPSホバリングモードなら撮影のタイミングをその場で待つ事もできます。

なぜかアームしない!?

INAVを初めて使用する場合、もしかしたら、なぜかアームしないという状況に頭を抱えるかも知れません。

配線に問題がある、設定に問題があるという場合も、もちろん考えられるのですが、今回はそれらに問題がなくても起こるアームできないという現象の原因をいくつか紹介します。
知ってしまえば簡単なことなのですが、自分も初めは勝手が良くわからず解決に時間がかかりました。

コンパスエラーがあるとアームしない

デフォルトでは、コンパスがエラーのままではアームが許可されないようです。
解除する設定ができるかも知れないのですが、自分はまだ見つけられていません。
OSDでCOMPASS NOT CALIBRATEDとエラーが出ていたらコンパスキャリブレーションを試してみましょう。

コンパス校正は屋外の磁気干渉が少ないと思われる環境で【iNavFlight入門②】で紹介したステックファンクションで実行するのがおすすめです。

スティックファンクションの指示を機体が受け付けたら(ブザーやOSD表示で確認)XYZ方向に機体を360度回します。

コンパス校正が済んだら、OSD画面で表示されている東西南北と実際の方位が正しいか確認すると、コンパスの取り付け向きが正しいかどうか確認できるかと思います。

GPS FIXしないとアームしない

これも設定次第で変わってくる可能性があるのですが、今回構成した機体の設定ではGPS FIXなしではアームできません。

デフォルトでは受信衛星数が6以上でGPS FIXと判断され、アーム可能になるようです。

NAV POSHOLDモードではアームしない

これは仕様のようですね
自分は知らなくて、気づくまでに時間がかかりました。

NAV POSHOLDが非アクティブなANGLEモードやHORIZONモード、もしくはACROモードでアームし、飛行中にNAV POSHOLDモードをアクティブな状態に変更します。

どの場合もOSD画面上でエラーが表示されているはずなので、エラー内容を良く読み、どこに問題があるか把握しましょう。

NAV POSHOLDの注意点

モード紹介の際によく説明していなかったのですが、NAV POSHOLDの設定だけで提供されるのは”ステックがセンター時に位置を保持する”という限定的な機能のみ。

つまり、モード設定でNAV POSHOLDだけを設定するとスティックセンター時は位置を保持してくれますが、スティック操作時などの基本動作はデフォルトのSTABILIZEDモードという形になります。

STABILIZEDメインで使用する場合、これはこれでありかなとも思うのですが、DJIのGPSモード的な動作を目指しているのであればANGLEモードと同時にNAV POSHOLDがアクティブになるよう設定する必要があります。

NAV_POSHOLD

上記画像のような状態ですね。

CH6のスイッチが上にある時にANGLEとNAV POSHOLDが同時にアクティブになる形に設定しています。

AIRモードも楽しめる

 AIR MODE

AIRモードの使用も可能(恐らくデフォルトでPermanently enable AIRMODEがアクティブになっている)なので、設定を追い込めば本格的なフリースタイル飛行も不可能では無さそうです。

安定的でありつつ実用的で補助的な機能と、不安定で技量と機体性能の限界を追求する為の機能、どちらもINAVには盛り込まれているということですね。

PIDs set

Filter set

今回、当初はGPSホバリングとRTHに興味があったのでPIDはデフォルトのままテストしていましたが、飛ばしているうちに楽しくなってしまって、結局FilterとPIDを設定しました。

まず簡単にチュートリアル動画やドキュメントを読み、FilterはOther FiltersのAccelerometer LPF typeをPT1に変更、Unicorn Filter Q Factorを450に変更しました。

Unicorn Filter Q Factorは数値を上げるほど機体の反応が鋭くなり、上げすぎるとぐらぐらするような、不快な感じになってくるようです。

emuflightのIMU-F FilterのQのような感覚で設定していけばよいようで、今回450でまだまだ上げられそうでしたが、PIDの設定に移りたかったので一旦上記設定で置いておく事にしました。

その上で、テストを繰り返しPIDを設定しました。

Control DerivativeはOSDの設定画面上ではFFの表記になっており、フィードフォワードと近い役割をしているものと考えられます。

まだ充分に設定を理解できていないことと、今回いつものフリースタイル機とは全体的な構成が全然違うということがあるので、運動性能に関して評価はできないのですが、ACROフライトも楽しく飛行できます。

感覚としては、少し昔のBetaflightとemuflightを足して2で割ったくらいの感じでしょうか。

ACROフライト向けの設定項目はBetaflightやemuflightほど多くないものの、洗練されていて逆に分かりわすい、設定・管理しやすいという方もいるかも知れません。

INAVの可能性

INAVはマルチコプタータイプだけではなく様々な形の機体にも手広く対応しているので、当然マルチコプターのアクロフライト性能という一点だけを見ればブラッシュアップに時間がかかる事も予測されます。

しかし一方で、BetaflightやEmuflightで実績を積んだ機能のコードがそのままINAVに移植される事も多いようです。

つまり、今のINAVがもし不満でも次、もしくはその次のバージョンのINAVは全く別物に化けている可能性があります。

これからのINAVも楽しみですね!

FPVに興味がない方が目視でフライトを楽しむ機体だったり、手軽で軽量な空撮機を制作するなどの用途にも、結構良いのではないかと思いました。

ただし、設定や調整自体はそこそこ難易度が高いので、もしホバリングや制御のスキルに自信がない場合は、安全の為プロペラガードやダクト付きのフレームを選びましょう。

また、必ずモードでKILLSWITCHを設定しておくと、予測していない動作が起きたらすぐにモーターを止められるので、念の為設定していつでも止められるようにしておくのが安全につながるかと思います。

自分や他人の方に高速で近づいてもぶつかる前に停止できる充分な距離を確保して、くれぐれも怪我のないように、安全にテストしましょう。

今後も折を見てiNavを取り上げようと思いますので、是非ご期待ください。

ArmattanInavflight

JACK によるブログ

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