目次
Section 1
電源の設定
今回はPX4の電源の設定を紹介します。
QGCの機体設定画面で電源タブを選択すると電源の設定が表示されます。
バッテリーを使い切って墜落する前にフェイルセーフアクションを実行したり、飛行中にバッテリー残量が把握できるように表示したりするためには、何らかの方法でバッテリーの残量を把握する必要があります。
この電源の設定はどのようにバッテリー残量を推定するのか、というところに関わる設定となります。
今回はパワーモジュールのメーカーが公表している数値を入れて簡単に設定しますが、他にもいくつか方法があるようです。
電源設定について詳細は下記のページをご覧ください。
Battery Estimation Tuning (Power Setup)
https://docs.px4.io/main/en/config/battery.html
今回は基本的なバッテリー設定として紹介されている簡単な方法で設定し、より細かい設定は飛行してみて不満があれば検討したいと思っています。
Section 2
使用しているパワーモジュールの確認
まず、使用しているパワーモジュールを確認しましょう。
上記は2年前に機体を組み立てた時の画像ですが、今回使用しているのは Holybro PM06 V2 というパワーモジュールになります。
現在はFC単体販売などバリエーションが増えましたが、当時 Pixhawk 4 mini とセットで販売されていたものです。
https://dayscape.jp/collections/flight-controllers/products/holybro-pixhawk4-mini-gps-pm06v2
Pixhawk シリーズには現在アナログパワーモジュールを使用するものと、デジタルパワーモジュールを使用するものがあるのですが、これはアナログタイプのパワーモジュールです。
例えば下記の Holybro PM06D Power Module は今回使用している Holybro PM06 V2 と良く似たデジタルタイプの製品になります。
https://dayscape.jp/collections/sensor/products/holybro-pm06d-power-module
製品名にDとつくものはデジタルタイプで、現行商品では Pixhawk 6X 等はデジタルタイプのパワーモジュールを使用し、Pixhawk 6C はアナログタイプのパワーモジュールを使用しますので、お使いの製品に対応したパワーモジュールを使用しましょう。
Section 3
セル数の設定
今回パワーモジュールを使用していますので、バッテリー設定の一番上の参照元についてはデフォルトの Power Module のままにしてあります。
次のセル数(シリーズ単位)には、使用するバッテリーのセル数を入力します。
自分は MacOS の環境で作業したのですが、この入力方法が少し分かりづらく、まず上記画像の①のボックスを一度クリックします。
すると②の?マークが表示されますので、?マークをクリックします。
?マークをクリックすると値の詳細という窓が表示されます。
今回は 4S 5000mha のバッテリーを使用したいと思いますので、4S Battery を選択し Save をクリックします。
自分のPCとの相性が悪いのか、電源の設定を変更してもうまく保存されない事が度々ありましたので、USBを抜いてFCを再起動したり、QGCのアプリを再起動したりして変更が反映されているか確認しながら作業を進めました。
Section 4
電圧分割器・アンペア/ボルトの設定
電圧分割器とアンペア/ボルトの設定に関しては、パワーモジュールの製造メーカーが情報を提供している場合があります。
下記の Holybro が公開しているアナログパワーモジュール設定のガイドに、PX4で設定する場合の方法と Ardupilot で設定する場合の方法について情報があります。
https://docs.holybro.com/power-module-and-pdb/power-module/analog-power-module-setup
上記のガイドによると、PX4の場合電圧分厚器のところは18.182に設定し、アンペア/ボルトは36.364に設定するよう指示があります。
電圧分厚器とアンペア/ボルトの設定に関して、自分の環境では「保存に失敗しました」というエラー表示が何度か出るなどし、何度かやり直したり色々クリックしているうちに設定が反映されていました。
記事を書くにあたり、設定をやり直して確認しましたが、下記の手順でうまくいくようでしたのでその方法を紹介します。
まず、先程のセル数を設定した時と同じ流れで?マークを表示し、?マークをクリックします。
値の詳細という窓が表示されますので、電圧測定の部分に18.182を入力し、Saveボタンをクリックすると数値が反映されます。
ただし、今回反映された数値は18.18199921と正確に18.182ではなかった為、少し気になるのですが、概ね正しい値なので今回はよしとしました。
電圧分厚器の設定後も再起動を実施し、設定変更の反映を確認しました。
アンペア/ボルトに関しても先程と同じ手順で?マークをクリック。
値の詳細という窓が表示されますので、指定通り36.364と入力し、Saveをクリック。
再度機体とQGCを再起動して値の反映を確認しました。
アンペア/ボルトに関しても実際に反映された数値は36.36399841で、正確に36.364ではなかったのですが、ほぼ近い数値ですのでよしとしました。
Section 5
フル電圧/電圧なし
フル電圧と電圧なしの設定項目なのですが、これらは電圧の情報を元にFCがバッテリー残量を推定する上で大きな影響を及ぼす項目のようです。
それぞれの値は下記の事に注意して設定する必要があるとのこと。
- フル電圧(セルあたり)
フル電圧はセルが満充電と見なされる最低電圧のことで、バッテリーの公称最大セル電圧よりわずかに低く設定する必要がありますが、数分飛行してもその電圧を下回らないように設定しなければならない。
- 電圧なし(セルあたり)
電圧なしはバッテリーが空になったと認識させる電圧で、高く設定するとバッテリーは保護されますが、飛行時間が短くなる。
逆に低く設定しすぎるとバッテリーが損傷するほどまで飛行を続けてしまう。
フル電圧はデフォルト設定のままにしてありますが、電圧なしの設定はテストフライトをしながら多少調整しました。
フライト毎にバッテリー残量にばらつきがあり、最適な値はまだ決めていません。
初めはデフォルトの3.6Vのままでフライトしてみるのが良いでしょう。
今回はPX4の電源設定について説明しましたが、詳細な設定方法は PX4 User Guide に記載されていますので、別の機会に試してみたいと思います。
次回はアクチュエーターの設定を進めます。