目次
Section 1
ESCキャリブレーション
前回モーターとサーボの構成を行ったのですが、続けてESCキャリブレーションについても簡単にご紹介します。
Ardupilotのドキュメントとして、ローバーのESCキャリブレーションは下記のURLで詳しく記載されています。
ESC Calibration
https://ardupilot.org/rover/docs/common-esc-calibration.html
ドキュメントには色々と書いてあるのですが、ブラシモーターのESCについては手動で設定せよと簡単に記されているのみとなります。
FC側からの出力信号とESCの認識する最小・中間・最大PWMが正しくマッピングされていれば問題ないものと思いますので、ブラシモーターの場合はESCのマニュアルにしたがってキャリブレーションを行えば良いのではないかと考えました。
通常のRCカーの場合にプロポから受信機を介して直接ESCにPWM信号を入力しますが、その最小・中間・最大についてはプロポのメーカーや機種、使用しているプロトコルによって違いが若干があり、それを補正しましょう、というのが基本的なESCキャリブレーションの考え方なのかなと思います。
Ardupilot Roverの場合、受信機の後にさらにFCが入りますので、プロポ→受信機→FC→ESCという一連の流れが構築された状態で、それぞれの間に大きな問題が起こらないように校正してあげれば、概ね問題ないはずです。
その考え方一通り問題なく動作しているようですので、今回行った手順を紹介します。
Section 2
使用しているESCのマニュアルの確認
上記はHOBBYWING QUICRUN1080 BRUSHED G2という今回使用しているESCのマニュアルからの抜粋です。
HOBBYWINGのマニュアルページは下記
https://cdn.shopify.com/s/files/1/0109/9702/files/Manual_QUICRUN_WP-1080_G2-Brushed.pdf?v=1670441020
まず、今回Real carモードを設定しています。
通常のESCの設定とはスロットルの動作が異なりますので、ご注意ください。
RCカー用のESCは、それ自体に色々な設定や機能が搭載されているものもありますので、ESCの設定がどのようになっているのか、しっかり確認しておきましょう。
上記はHOBBYWING QUICRUN1080 BRUSHED G2という今回使用しているESCのマニュアルからの抜粋です。
肝心なキャリブレーション作業は上記に記されています。
HOBBYWING QUICRUN1080 BRUSHED G2の場合、手順としては下記の通りです。
1. スロットルチャンネルのD/RやCurveなどの設定が諸々デフォルトになっていることを確認(今回FCからのPWM範囲に合わせ、FC側でリバース等も確認しているので、ここは気にしていないです)
2. プロポの電源がONの状態でESCをバッテリーに接続し、SETボタンを押しながらESCのON/OFFボタンを押してESCをONにし、ビープ音が鳴ったらすぐにSETボタンを離す。
3-1. ニュートラルポジションの設定。
今回の場合プロポのスロットルスティックがセンターの状態でセットボタンを押し、ビープ音が1回鳴ることを確認。
3-2. フルスロットルエンドポイントの設定。
今回の場合スロットルスティックが最大の状態でセットボタンを押し、ビープ音が2回鳴ることを確認。
3-3. ブレーキエンドポイントの設定。
今回の場合スロットルスティックが最小の状態でセットボタンを押し、ビープ音が3回鳴ることを確認。
4.3秒後にモーターが起動できるとのこと。
簡単に言えば、ESCにスロットルのニュートラル、最大、最小PWM値をキャプチャさせる作業のようです。
Section 3
Servo OutputをモニターしながらのESCキャリブレーション
Ardupilot Roverの場合、スロットルチャンネルの信号を初期位置から変化させる為に、はじめに思いつくのは、走行できる状態にすることでした。
その為、ARMする必要があるのですが、スロットルチャンネルの信号を初期位置からHoldモードではスロットルチャンネルの信号を初期位置か動きませんので、キャリブレーションできません。
また、ACROモードなど、ほとんどの走行モードで補正が入ってしまいます。
そうやって考えていくと、ESCキャリブレーションを行うにはARMし、Manualモードでスロットルを動かして行くのが良さそうです。
今回の場合、基本的には先程紹介したESCのキャリブレーション手順にしたがって設定して行くのですが、 ESCがキャリブレーションモードに入ると、モーターは動きませんので、しっかり信号が送られているのか確認することができません。
Mission Plannerでモニターしながら作業すると出力信号が可視化できますので、分かりやすいと思います。
まず、SETボタンを押しながらON/OFFボタンを押してESCを起動し、PCとFCを接続してMission Plannerを立ち上げました。
ARMし、Manualモードになっていることと、さらにServo Output画面でThrottleチャンネルの緑色のバーが動くことを確認します。
Throttleチャンネルの緑色のバーが動けば、そのニュートラル、最大、最小の順番で値をキャプチャすればよいので、はじめにニュートラル、つまりスロットルがセンターの状態でSETボタンを押します。
次に、スロットルスティックを最大位置に保持したままSETボタンを押して、フルスロットルエンドポイントをキャプチャします。
最後に、スロットルスティックを最小位置に保持したままSETボタンを押して、ブレーキエンドポイントをキャプチャします。
この作業を終えて3秒くらい待つと、マニュアルに記載されていた通りにモーターが動作する状態になりました。
上記画像でスロットルのPWM値が1101、1500、1899と、綺麗に1000〜2000ではないのですが、今回は気にせずこの幅にESCの方を合わせてしまいました。
プロポの設定でしっかりエンドポイントを合わせてからESCキャリブレーションを行う事で、綺麗に1000最小、1500ニュートラル、2000最大にすることも可能です。
何か問題があったり、気になる方は、ESCキャリブレーションを行う前にもう一手間加えて作業すると良いかと思います。
今回はHOBBYWING QUICRUN1080 BRUSHED G2の場合を例にESCキャリブレーションを紹介しました。
ブラシモーターの場合、キャリブレーション手順がESCによって異なるものと思いますので、良くマニュアルを読んで作業してください。
次回はバッテリーの設定を紹介したいと思います。