【DroneBridge for ESP32 テレメトリーユニット】基本的な使い方

目次

Section 1

DroneBridge for ESP32 テレメトリーユニット

Ardupilot や PX4 を使った機体を製作する際、国内で使える低価格なテレメトリーユニットは選択肢が限られており、大きなハードルのひとつでした。

近年では、DroneBridge や、以前ブログで紹介した ESP8266 WiFi telemetry などを利用することで、安価に自作できる環境が整いつつあります。
とはいえ、価格面では自作が最も安く済むのですが、
「設定済みのユニットが欲しい」「すぐに使える状態で導入したい」
といった声を多く頂いていました。

そこで今回、当店オリジナル商品として DroneBridge for ESP32 テレメトリーユニット を商品化しました。

何もせずにそのまま使える製品になると一番便利なのですが、フライトコントローラー(FC)やPC側のアプリケーション(GCS)はバージョンやものによって様々ですので、それらの設定は最低限確認、もしくは整える必要があります。

今回は基本的な使い方を紹介したいと思います。

XIAO ESP32C3 はリセットボタンが押されると設定が初期化されてしまうのですが、当店では専用カバーを設計することで誤操作を防止し、使いやすさを向上させました。

また、ねじ止め式のカバーは簡単に取り外し可能。

リセットボタンを押してしまうと設定が全て初期化され、AIR(機体)ユニットとGND(地上)側ユニット両方を再設定する必要があるのですが、希望する使用方法が変わっても軽量化やリセット・再設定にも対応できます。

出荷時に設定したCH番号とパスワードなどをラベルに記載していますが、ESP-NOW LRモードでAIR(機体)ユニットとGND(地上)側ユニットが通信を行う為、PCなどで直接アクセスすることはできません。

設定を変更する場合はリセットし、完全に初期設定に戻す必要がありますので、出荷時のCH番号やパスワードをユーザーが使用する場面はないのですが、複数セット使用する場合にペアの管理などにご活用頂けたらと思います。

製品概要

  • 通信方式:DroneBridge for ESP32 を用いた 2.4GHz WiFi テレメトリー
  • モード:ESP-NOW LR モード(初期設定済み)
  • 構成:AIR(機体)ユニット+GND(地上)側ユニット(セット販売)
  • AIR(機体)側、GND(地上)側両ユニットとも Seeed Studio XIAO ESP32C3 を採用
  • ゴム系のTPU素材を採用し高い耐久性を実現

ESP-NOW LRモードは、最大1kmの通信範囲をカバーできるとされており、広範囲での利用が可能です。

機体側ユニット

  • Pixhawk4〜6 FCモジュールに対応する専用コネクタを搭載
  • スタンダードのケース込み重量:約10g
  • Holybro S500/X500用のケース込み重量:約15g
  • 通常版は最小限の構成で軽量
  • Holybro S500/X500用はスキッドにタイラップで固定可能なデザイン

地上側ユニット

任意の角度にアンテナを固定可能なデザイン

  • ケース込み重量:約11.3g

Section 2

配線

本ユニットは、出荷時点でPixhawk4〜6 FCモジュールに対応するコネクタを搭載済みです。

そのため、Pixhawkを使用する場合は、任意の TELEM ポートに接続するだけで配線は完了します。

詳しい配線仕様は、公式ドキュメント DroneBridge Docs の「Hardware & Wiring」ページに記載されています。

https://dronebridge.gitbook.io/docs/dronebridge-for-esp32/hardware-and-wiring

ESP32-C3そのものは、ハンダパッドの割り当てを自由に変更できる柔軟な基板です。

当店の「DroneBridge ESP32 テレメトリーユニット」では、混乱を避ける目的でドキュメントで例として記載されている配線で製造していますので、リセットし再設定する場合は上記配線で設定してください。

DroneBridge は ESP-NOW LRモードだけでなく、他の通信モードも利用可能です。

用途に応じて設定を変更することもできますので、カスタマイズを行いたい場合は DroneBridge Docsをご参照ください。

※出荷時に通信の確認も行っておりますので、基本的には「接続するだけでそのまま使用可能」で、ESP32-C3側の設定は必要ありません。不用意にリセットしてしまうと初期化されてしまいますので、ご注意ください。

ArdupilotとMission Planner で使用する場合と、PX4 と QGroundControl の組み合わせで使用する場合、2つのパターンをご紹介します。

Section 3

Ardupilot+Mission Planner(FC側設定)

ここでは、ArduPilot 使用する例として、Pixhawk6Cを搭載したS500フレームで「DroneBridge ESP32 テレメトリーユニット」を実際に利用した手順を紹介します。

Pixhawk6C には TELEM ポートが3つありますが、今回は TELEM2 ポートにDroneBridge ESP32 テレメトリーユニットを接続しました。

FC側の接続したポートのパラメーターを以下のように変更します。

  • SERIALx_PROTOCOL = 2(MAVLink2)
     または 1(MAVLink1)
  • SERIALx_BAUD = 115(115200bps)

今回は TELEM2 を利用しているため、以下の設定を行いました。

  • SERIAL2_PROTOCOL = 2 
  • SERIAL2_BAUD = 115 

Mission Plannerの「設定/調整」タブ → フルパラメーターページを開き、

検索ボックスに「SERIAL2」と入力すると、関連パラメーターが一覧表示されます。

そこから値を変更すれば、簡単に設定が完了します。

Section 4

Ardupilot+Mission Planner(PC側設定)

DroneBridge ESP32 テレメトリーユニットを Mission Planner で利用する場合、Beta版の Mission Planner が必要です。

Beta版の Mission Planner を入手するには、Mission Planner 内のヘルプタブに移動し、ベータアップデート確認をクリックします。

※将来的には Mission Planner の安定版で DroneBridge ESP32 への対応が可能になるとのことです。

クリックするとダウンロードが開始され、自動的にBeta版の Mission Planner がインストールされます。

続いて、設定を行います。

CONFIGタブ、Plannerページ内に "Disable RTS reset on ESP32 SerialUSB" の設定が表示されますので、このチェックを入れてください。

もしこのチェックボックスが表示されない場合は、お使いの Mission Planner が対応していません。その場合は、上記手順でBeta版をインストールしてください。

ここまでで使用前の下準備は完了です。

地上側ユニットをTYPE-C USBケーブルでPCに接続します。

機体側の電源投入後、Mission Planner の COMポートに接続します。

接続先が選択できますので、テレメトリーではなく機体を選択すると、機体との通信が確立します。

Section 5

PX4 +QGroundControl(FC側設定)

ここからは、PX4 と QGroundControl を使った設定方法についてご紹介します。

今回の例では、Pixhawk 4 mini を搭載したX500フレームを使用しました。

Pixhawk 4 mini には「TELEM」とラベルの付いたポートが1つしかありません。

そのため、TELEM1 ポートに DroneBridge ESP32 テレメトリーユニットを接続します。

FCの設定に移りますが、QGroundControl を起動し、機体設定からパラメーターページを開きます。

該当するTELEMx の値 を次のように設定します。

  • SER_TELx_BAUD: 115200 8N1

今回の例では、TELEM1に接続していますので、以下のように設定しました。

  • SER_TEL1_BAUD: 115200 8N1

Section 6

PX4 +QGroundControl(PC 側設定)

次に、QGroundControl 側での設定を行います。

この手順は DroneBridge Docs れていませんが、筆者が使用した QGroundControl v4.3.0 では、以下の手順で問題なく動作しました。

まず QGroundControl のホーム画面からアプリケーション設定を選択します。

通信リンクページへ移動し、追加ボタンを選択します。

ご自身の分かりやすい名前を設定します。

タイプ→シリアルを選択。

シリアルポート→ESP32(地上側)がPCと接続されているポートを選択します。

OKボタンを押し、新しいリンク設定を作成します。

機体側が起動していることを確認した上で、先程作成したESP32を選択し、接続をクリックすると通信が確立します。

Section 7

まとめとトラブルシューティングのヒント

以上が、DroneBridge ESP32 テレメトリーユニットの基本的な使用方法 です。
フライトコントローラーと地上局の両方で最低限の設定が必要になりますが、比較的シンプルな手順でテレメトリー通信を構築できます。

なお、本ユニットは出荷前にユニット同士の接続確認を行っています。そのため、もし通信がうまく確立できない場合は、以下のポイントを確認してください。

  • FC側の設定(シリアルポートやボーレートが正しいか)
  • 地上局側の設定(Mission Planner / QGroundControlのリンク設定が正しいか)
  • USBケーブル(データ通信対応のケーブルを使用しているか)

テレメトリーを自作する場合、通信が確立しないと原因特定に時間がかかりがちです。

特に初めて作業する場合、FC側に問題があるのか、テレメトリーユニットに問題があるのか、GCS側に問題があるのか、その他ケーブル類やPCのWIFI設定などが障害となる場合もあり、問題の切り分けが非常に複雑になってしまう為です。

しかし、このユニットを利用することで、そうした初期トラブルを大幅に軽減し、スムーズに導入できるかと思います。

PX4 や Ardupilot はテレメトリー通信ができないと魅力が半減してしまいますので、必要に応じて「DroneBridge for ESP32 テレメトリーユニット」の活用をご検討ください。

ArdupilotHolybroPixhawkPx4

JACK によるブログ

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