Ardupilot Roverの製作【10】モード設定

目次

Section 1

モード設定

3回に分けてArdupilotのRoverで利用できるモードを紹介しました。

一通り利用できるモードが把握できたところで、今回は実際に希望するモードを設定していきます。

モード設定について、下記のドキュメントで詳しく紹介されています。

RC Transmitter Flight Mode Configuration
https://ardupilot.org/rover/docs/common-rc-transmitter-flight-mode-configuration.html#common-rc-transmitter-flight-mode-configuration

今回のRoverは別に飛行するわけではないのですが、Ardupilot全体としては飛行するもの、特にマルチコプターを基本にできているようなので、Mission Planner上の設定タブの名前もフライトモードとなっています。

ドキュメントには応用としてモードチャンネルに6つのモードを設定する方法なども紹介されていますが、今回はモードチャンネルを設定したスイッチが3ポジションスイッチですので、モードチャンネルには3つのモードを割り当てるのみとしました。

それ以外のモードはRCx_optionとして別のチャンネルに割り当てる方法を紹介したいと思います。

Section 2

フライトモード

メインのモードチャンネルの設定はMission Plannerのフライトモード画面で行います。

フライトモード画面は、Mission Plannerで①の初期設定に入り、②のフライトモードを選択することで表示されます。

上記画面は既に設定済みの状態なのですが、PCとFCが接続されているだけでなく、プロポと受信機も接続されている場合、③のようにFlightモード1〜6のどこかが緑色に変化しているかと思います。

③の緑色は、現在の入力信号(PWM値)がどこに当たるか、ということを示しています。

プロポに搭載されているスイッチを片っ端から動かしてみて、③の緑色がFlightモード1〜6の間で変化するスイッチがあれば、現在そのスイッチが割り当てられているCHがモードチャンネルとして割り当てられている事が分かります。

Ardupilot Roverの製作【6】ラジオキャリブレーションでも少し触れたのですが、デフォルトのモードチャンネルはCH8に設定されており、メインのモード切り替えに使用したいスイッチをCH8にあらかじめ設定しておくと作業が楽になります。

プロポや受信機によっては、特定のCHのみ機能が制限されている場合や、ホイラータイプなどで、そもそもCH8まで利用できないRCシステムもあるかと思います。

その場合、フルパラメーターリストからMODE_CHを変更することでメインのモードCHを変更できますので、CH数が少ないプロポや受信機でも工夫すれば様々なモードを利用できる可能性が高いです。

今回CH8を3ポジションスイッチに設定していますが、スイッチを中間の位置に動かすと、先程までFlightモード1にあった緑色がFlightモード4へ移動しました。

次にスイッチを一番下に動かすと、Flightモード4だった緑色がFlightモード6に移動しました。

つまり、現在の設定でCH8に設定されているスイッチの上、中間、下のPWM入力範囲は上(0-1230)、中間(1491-1620)、下(1750以上)となっており、そのそれぞれの位置にモードを割り当てることで1つのチャンネルで3種類のモードを利用できる仕組みになっています。

今回はFlightモード1-Hold、Flightモード4-Manual、Flightモード6-Acroの3つのモードをドロップボックスから選択しました。

最後に①で示したモードの保存をクリックすれば、設定したモードが保存されます。

他のスイッチとの組み合わせや、カーブ設定で現在移動できないFlightモード2、3、5へも移動できるように調整すれば、1つのチャンネルで最大6つのモードに切り替える事も可能です。

例えばRCシステムとして送信できるチャンネル数は少ないものの、プロポには十分なスイッチと設定の自由度があるといった場合、このメインのモードCHだけで最大6つのモードが利用できますので、希望するモードを網羅する事ができるかもしれません。

Section 3

RCx_OPTIONを利用したモード設定

メインのモードチャンネルに設定する以外にも、他のチャンネルにモードを設定する方法があります。

設定方法はいくつかあるようなのですが、一般的と思われる方法をいくつかご紹介します。

1つ目は上記画面①で示した設定/調整内にある②のベーシックチューニング画面から設定する方法です。

青色の点線で示した区画に、RC7〜10 Optと記載されたドロップボックスがあるのですが、ここでRC7〜10にモードを割り当てる事ができます。

自分はRC9にRTLを、RC10にAUTO Modeを割り当てました。

設定したら忘れずにオレンジ色の矢印で示した「パラメータ書込」ボタンをクリックして設定を保存しましょう。

2つ目の方法は同じく①で示した設定/調整内にある②のUser Params画面から設定する方法です。

ここでは先程のベーシックチューニング画面では設定できなかったRC6とRC11〜16の設定も行えるようになっています。

青色の点線で示したRC9とRC10は先程設定した機能が割り当てられている事が分かります。

個人的には、ほとんどのCHにアクセスできる事と、画面がシンプルだという理由から、先程のベーシックチューニング画面よりもこちらのUser Params画面から設定を行う場合が多いです。

どのスイッチがどのCHに割り当てられているか忘れてしまうので、初期設定内にあるラジオキャリブレーション画面へ移動して確認し、またUser Params画面へ戻って機能を割り当てる、という形で画面を行き来しながら設定しています。

なぜ設定画面がこのように分散しているかは不明ですが、何か理由があるのかもしれません。

このUser Params画面でも設定を行なったら忘れずにオレンジ色の矢印で示したModifyボタンをクリックして設定を保存しましょう。

最後はお馴染みフルパラメータリストから設定する方法です。

試しに、設定したRC10がどうなっているか確認してみましょう。

アクセス方法は、①設定/調整→②フルパラメータリストで画面を表示し、③の検索ボックスに「RC10」を入力します。

RC10_OPTIONというパラメーターが該当する設定になります。RC10_OPTIONが値としては16、機能としてはAUTO Modeに設定されている事が確認できました。

Ardupilotには「RC_OPTIONS」という設定が別にあるようですので、混乱を避ける目的で今回Section 3の題名を「RCx_OPTIONを利用したモード設定」と回りくどい表現にしています。

今回はArdupilot Roverのモード設定をご紹介しました。

いくつか設定方法がありますが、自分はラジオキャリブレーション画面でスイッチがどのCHに割り当てられているか確認しつつ、フライトモード画面とUser Params画面で設定を行なっています。

特に今回のArdupilot Roverの製作では、まずRCカーとして普通に動く状態に整えた上でArdupilotを追加していますので、場合によっては既に走らせる事ができるかもしれません。

Ardupilotで設定を行う場合、ここまでは記事の順番通りに設定していくのが基本なのではないかと思うのですが、最低限必要な設定が整いつつあります。

走るのならば、実際に走らせながら動きを確認して、改善点を考えながら設定を進めるという手順がわかりやすくておすすめです。

そういった事情もあり、次回からは必ずしも順番通りに作業する必要がない、もしくは不要であれば設定しなくても良い場合もある項目も含まれます。

なるべく最低限確認しておきたい設定を先に紹介したいとは思っているのですが、使用しているパーツによってはある設定の準備として別の設定を先に整える必要があったりと、ここから先の記事は順番を入れ替えて対応が必要になるかもしれません。

走らせる前にステアリング制御用のサーボのざっくりしたセンター出しとモーターの回転方向・ESCのキャリブレーション等は確認しておいた方が良いと思いますので、次回はサーボの調整とモーター回転方向の確認を紹介したいと思います。

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JACK によるブログ

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